研究実績の概要 |
本研究は,気候変動下における豪雨による洪水現象において,橋梁に集積する流木によって引き起こされる越水現象に着目した.先行研究によって実施された,橋梁・河川・流木集積等の模型を利用した室内実験の結果を参考とし,この結果を再現するための数値モデルの開発と現地への適応(過去に発生した洪水事象に応用すること)を行う研究課題であった.3年間の進捗工程を,基礎Ⅰ:現地調査のデータの整理と解析,基礎Ⅱ:流木による越水現象を再現するための数値モデルの開発,応用:現地適応型の数値シミュレーションと3つ工程に設定した.本研究1~2工程を通して構築され,また室内実験の結果との妥当性を検証された数値モデルを使用して,現地への適応を行うために地形情報や気象情報を組み込み,数値シミュレーションを実施した. その成果については,災害復興に関する国際シンポジウム(I3R2 Sri Lanka, 2016)の査読付きプロシーディングスに学術論文として掲載された. 加えて,モデル開発に関する研究成果(工程Ⅱの成果に対応)で,越水時の水位高と洪水を行き起こす要因(流木量,橋梁形状,流入量)の物理的メカニズムを解明するために,要因に基づく計算条件を変化させながら複数の計算ケースを実行した数値シミュレーションについて,主要因分析を行った成果についてまとめられた原稿を国際ジャーナル(International Journal of Disaster Resilience in the Built Environment, UK, http://www.emeraldgrouppublishing.com/ijdrbe.htm)に投稿し,その査読結果に基づき現在は修正中である.
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