研究課題
球磨川の河口より約20km上流の八代市坂本町地先にある発電用の荒瀬ダムは,2012年度より段階的な部分撤去法が適用された.そのため熊本県企業局ではダム撤去が河床変動,河川環境に与える影響を検討している.なお,荒瀬ダムにおいては2010年3月31日よりゲートが開放され,河床からダムクレスト部までの高さが約11.3mであることから,実質的には堰撤去の領域に入る.みお筋が形成された右岸近傍に開口部を設けることで荒瀬ダムの直上流および直下流部においては急激な河床変動が生じると共に,下流には大規模な砂州が形成され,河床形状,河床材料,流れの変化等の物理環境の多様性から生物環境の改善が認められた.現地調査では,荒瀬ダム直下流において発生した砂州の特性と砂州によって生じた本流路および副流路を流れる平水時の流れの特性について明らかにした.更に室内実験では動的河床の前に静的平衡河床を対象に,開口部を有する堰において相対越流水深が堰下流の河床変動に与える影響および堰下流域に発達した砂州の基本特性および河床上の流れの三次元構造について検討した.室内実験では,静的平衡河床を対象に開口部を有する堰が下流の河床変動に与える影響および堰下流域に発達した砂州上の流れの三次元性について検討した.その結果,1) 開口部を有する堰周辺の洗掘は,開口部周辺に集中し,洗掘の面的広がりおよび深さは相対越流水深の増加に従って小さくなる.2)堰上流域では堰開口部近傍において強い下降流が現れ,堰下流域では砂州との位置関係が強く,砂州上では上昇流,砂州間の谷部において収束する下降流が認められた.3)堰前面で発生した横断方向に軸を持つ馬蹄形渦は堰開口部を流下するに従って流下方向に軸を持つ縦渦に向きを変え,その外側には逆回転の縦渦が形成された.堰開口部が,流れおよび河床変動に与える影響について基礎的知見が得られた.
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土木学会論文集B1(水工学)
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4th International Symposium of Shallow Flows, Eindhoven University Technology
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12th International Conference on Hydroscience & Engineering Hydro-Science & Engineering for Environmental Resilience
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