研究課題/領域番号 |
26420515
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
秋田 直也 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (80304137)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際海上輸送 / シー&レール / モーダルシフト |
研究実績の概要 |
本年度は、主に、関西地域と九州地域間におけるコンテナ貨物の鉄道輸送実態の把握を行い、以下の知見を得た。 関西地域と九州地域間のトラック輸送において、長距離ドライバー不足の問題や法令遵守の徹底、さらには、九州地域から関西地域に輸送される貨物量が少ないなどの理由から、とりわけ、繁忙期に、貨物を輸送するためのトラックが調達できないケースが生じている。このため、鉄道または船舶での輸送を検討する荷主は増加傾向にある。しかし、鉄道輸送でも、トラック輸送と同様、繁忙期に荷主の輸送依頼を断るケースがみられ、トラック輸送の受け皿となれていないことがわかった。またその一因が、鉄道輸送における線路容量が逼迫しているだけでなく、荷主施設が都市域内に立地していることや、鉄道貨物駅へのアクセスが不便であることなどから、端末輸送を担う利用運送事業者の輸送が効率的に行えていないことにあると推測できた。 さらに、九州地域を結節点とした国際シー&レール一貫輸送サービスでは、12ftの鉄道コンテナを利用した事例が大半であった。その理由として、トンネルの高さ制限により、40ft海上背高コンテナが輸送できない区間があることや、40ft海上コンテナを取り扱う貨物駅が限られることなどの問題があると考えられる。今後、本研究における検討では、いずれのコンテナを用いて行うのかを考慮する必要がある。 一方、神戸港・大阪港と瀬戸内諸港に寄港する国際定期コンテナ船サービスについては、複数の国内港湾に寄港しているものや、上海港以北へのサービスが多くみられることがわかった。また、膨大なAISデータとCyber Shipping Guideで提供されている定期コンテナ船サービスとを自動的にマッチングするシステムの開発を試みているが完成には至っておらず、引き続き行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、国内におけるシー&レール一貫輸送サービスに関する事例収集、並びに、関西地域と九州地域間におけるコンテナ貨物の鉄道輸送実態の把握を行い、鉄道輸送が抱える問題を明らかにすることができたと考える。また本研究を行っていく上で、提案するサービスに利用するコンテナの規格を考慮する必要があることを、課題として新たに認識することができた。 その一方で、海外におけるシー&レール一貫輸送サービスに関する事例収集はあまり進んでいない。また、膨大なAISデータとCyber Shipping Guideで提供されている定期コンテナ船サービスとを自動的にマッチングするシステムの開発が完成するまでには至らなかったことから、瀬戸内海を航行する定期コンテナ船サービスを特定することができていない。 こうしたことを勘案し、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、AISデータとCyber Shipping Guideで提供されている定期コンテナ船サービスとを自動的にマッチングするシステムの開発を進め、瀬戸内海を航行する定期コンテナ船サービスを特定したい。その上で、提案するシー&レール一貫輸送への転換が期待されるコンテナ貨物の最大貨物量を、輸出入別、貨物品目別に推計する。 そして、推計した最大貨物量をベースに、転換率を変化させた数ケースのシナリオを設定し、設定したケースごとに、博多港・北九州港に発着する定期コンテナ船サービスにおける最適な投入船型とサービス頻度を設定し、輸送効率の改善効果の予測を行う。さらに、設定したケースごとに、提案するシー&レール一貫輸送に係る海上輸送コストや鉄道輸送コスト、CO2排出量などを推計し、経済合理性と環境負荷の低減の観点から、サービスの評価を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、海外での学会にて研究成果の発表を計画していたが、研究の進捗がやや遅れたため実施することができなかった。このため、これに伴って計上していた外国旅費、外国語論文の校閲、研究成果発表費用などを使用しなかったことが主となっている。 これに加え、資料整理が遅れており、これに計上していた資料整理および調査補助での人件費を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画どおり、次年度以降の海外での学会への研究成果の投稿および発表費用、並びに、資料整理を実施するための人件費として使用する。
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