研究課題/領域番号 |
26420515
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
秋田 直也 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (80304137)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 国際海上輸送 / シー&レール / モーダルシフト |
研究実績の概要 |
本年度は、主に、AISデータと国際定期コンテナ船サービスのスケジュール情報とを自動的にマッチングするシステムと、船舶が岸壁に着岸した時刻と離岸した時刻をAISデータから抽出するシステムの開発を行い、以下の知見を得た。 まず、神戸港または大阪港で提供されている国際定期コンテナ船サービス数についてみると、中国航路、東南アジア航路、韓国航路で大半を占め、また、大阪港に寄港した後、神戸港に寄港するものが約半数であった。そして、大阪港と神戸港の両港に寄港する傾向は、韓国航路、中国航路において強く、その大半が10,000総トン未満の船舶を用いて瀬戸内海を航行しているものであった。 次に、各時刻における岸壁での船舶の着岸・離岸頻度の分布を混合正規分布と仮定することで、着岸時刻の分布から、神戸港で6つ、大阪港で7つ、離岸時刻の分布から、神戸港で6つ、大阪港で8つの正規分布を抽出することができた。そして、これら正規分布が発生する一因として、コンテナヤードでの港湾労働者の就労時間帯や休憩時間帯、荷役禁止時間帯などが影響していることが推測できた。 さらに、船舶の岸壁への着岸時刻において、神戸港、大阪港ともに、7時台に激しい集中がみられる。これに対し、離岸時刻では、大阪港で6時台に激しい集中がみられるものの、神戸港では顕著な集中はみられない。通常、船舶の離岸時刻は、これを決定する各船舶の岸壁での滞在時間の頻度分布に大きな集中がみられないことから、神戸港の様に分散化すると考えられる。こうした中で、大阪港における6時台の離岸の集中は、次港となる神戸港入港のための時間調整を岸壁で行っている結果、生じていることがわかった。 また新たな課題として、貨物量の推計を行うには、岸壁での船舶の滞在時間と、揚げ積みされたコンテナ個数との関係性を抽出することが必要であり、引き続き検討していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、提案するシー&レール一貫輸送サービスへの転換が期待されるコンテナ貨物の最大貨物量の推計を行う計画であった。しかし、貨物量の推計を行うにあたり、(1)個別事業者を特定することができるとの理由から、各船舶が岸壁に滞在している間に揚げ積みされた実入・空別のコンテナ個数のデータを入手することができなかった。(2)さらに、AISデータから算出される岸壁での滞在時間の内、実際にコンテナを揚げ積みしている時間を特定することができていない。などの新たな課題が生じた。このため、現段階では、岸壁での船舶の滞在時間と揚げ積みされたコンテナ個数との関係性を抽出するまでには至っておらず、対象となる最大貨物量の推計が行えていない。 こうしたことから、「遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、AISデータから算出される岸壁での滞在時間と、揚げ積みされたコンテナ個数との関係性を抽出することを試み、提案するシー&レール一貫輸送への転換が期待される最大貨物量を、輸出入別に推計する。 さらに並行して、提案するシー&レール一貫輸送サービスに対する荷主の利用意向データの収集を行う。具体的には、近畿、中国、四国地方に立地する荷主を対象としたアンケート調査を企画し、実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度、海外での学会にて研究成果の発表を計画していたが、研究の進捗が遅れているため実施することができなかった。このため、これに伴って計上していた外国旅費、外国語論文の校閲、研究成果発表費用などを使用しなかったことが主な理由となっている。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初の計画どおり、次年度以降の海外での学会への研究成果の投稿および発表費用、並びに、資料収集のための旅費、資料整理を実施するための人件費として使用する。
|