まず,鉄道コンテナ輸送におけるオフレール部分の効率化を検討するために,デジタル式運行記録計による運行履歴データをもとに,百済貨物ターミナル駅に発着する鉄道コンテナ集配トラックの1日の運行特性を把握し,コンテナの配達地から集荷地へのコンテナラウンドユース輸送の運行形態の形成に寄与する要因を明らかにした.具体的には,コンテナラウンドユース輸送の運行形態となる三角型(降し作業→積み作業)の形成を,降ろし作業が行われる第1ストップ(配達地)におけるホームに帰着するか・帰着しないかの選択と,積み作業が行われるストップ(第2ストップ)の選択の2段階からなる選択行動として捉えることで,ネスティッドロジットモデルを用いたコンテナラウンドユース輸送の運行形態形成モデルを構築した.その結果,コンテナラウンドユース輸送の運行形態の形成には,第1ストップがホームから遠く,且つ,コンテナ積載可能個数の多い車種であること,さらに,積み作業が行われるストップ(集荷地)の選択では,総走行距離がより短縮されるような積み作業が行われるストップ(集荷地)が選択される傾向が強いことがわかった. 次に,2018年7月の西日本豪雨によって顕在化した鉄道輸送の問題を,新聞記事およびJR貨物などへのヒアリング調査から整理した.今回,線路に大きな被害が生じた結果,運転再開に長期間を要したが,この間の代行輸送による輸送容量は,平時の約2割しか確保できていない.このことから,西日本地域では,トラック,フェリー,内航船の輸送容量に余裕がないことがわかった.また,山陰線等を利用した迂回運転が開始されたが,JR貨物が山陰線の営業免許を持っていなかったことなどの種々の問題から約2カ月を要した上に,代行輸送に上積みできた輸送容量は1%であった.このことから,大規模災害時における西日本地域の鉄道ネットワークの脆弱性が示唆される.
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