研究課題/領域番号 |
26420516
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
桑野 将司 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432680)
|
研究分担者 |
福山 敬 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30273882)
塚井 誠人 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70304409)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ソーシャルネットワーク / アクセシビリティ / 施設利用可能性 / 活動代替性 / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
家族や地域住民とのつながりの希薄化や空洞化が懸念される近年,「共助」のまちづくりが着目されているが,「共助」の定量的評価はなされていない.本研究では,共助機能を活かした都市・地域計画立案のために,地域のソーシャルネットワーク再現手法を構築し,地域の人のつながりが住民の生活にどのように影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とし,本年度は以下のことを実施した. (1)支援者と被支援者の関係を分析するために,アンケート調査で得られた支援者数分布,世帯・個人属性分布を用いて,現実のソーシャルネットワークを仮想空間上に生成する方法を構築した.そして,生成したソーシャルネットワークが持つ特性とアンケート調査結果を比較し,提案手法が高い精度で現実のソーシャルネットワークを再現できることを明らかにした. (2)離散選択モデルによって構築した施設別・交通手段別の施設利用可能性評価モデルと(1)で生成したソーシャルネットワークを用いて,アクセシビリティの定量化手法を提案した.具体的には,a)個人が徒歩や自動車,あるいは公共交通で直接,買物施設や医療施設に行くことができる,または世帯構成員や友人といったソーシャルネットワークを介して間接的に施設を利用できることをアクセシビリティと定義し,それらを地域レベルで集計した地域アクセシビリティの指標化を行った.そして,b)生成されたソーシャルネットワーク内の個人とその個人の施設利用可能性を1つのネットワークとして記述し,各個人から施設までの最短距離を算出することによって,地域レベルでのアクセシビリティの算出を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載したように,買物施設や医療施設等の生活関連施設への送迎,および食料品や日用品の購入依頼等の活動代替に着目し,各個人が他者とのつながりのなかでどのように役割分担や助け合いを行いながら活動しているかを,ソーシャルネットワーク再現手法と個人選択行動モデルを組み合わせて表現し,地域全体のアクセシビリティを定量化する方法の構築に成功した.そのため,当初の計画通り順調に研究が進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに構築したソーシャルネットワーク再現手法を用いて,個人レベルでの支援者の有無だけでなく,他者間の人づきあいの程度など地域レベルでのソーシャルネットワークが,住民の生活の質にどのように関係しているかを定量的に明らかにする予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
3月に予定していた研究打合せ(出張)が中止となったため,次年度使用額が生じた.
|
次年度使用額の使用計画 |
3月に予定していた出張を,4月に変更し,研究をすすめる.
|