天災の多い我が国では、種々の災害を前提に対策を施した道路網の構築と維持が不可欠である。道路網信頼性の向上のためには、信頼性向上の寄与度の高いリンクの発見が重要であり、重要度評価と呼んでいる。しかし、従来の確率重要度RIやクリティカリティ重要度CIでは、①並行する代替リンクの改善を無視する傾向があり、従来指標を実際の道路網に適用すると歪んだ結果を導くという短所および、②費用対効果を考慮できないという短所がある。そのため、 1)上記問題点を克服するため並列ネットワークでの公平性を考慮した新しい重要度指標(ICI)の提案と『コスト-リンク信頼度関数』との組合せを提案した。2)主要パスの利用による大規模道路網で効率的に計算できる実用的近似解法を開発した。3)道路ネットワーク規模を拡大し、新しい方法の精度および実用性の検討を行った。 研究実績の概要:(1)ブール演算アルゴリズムの構築と改善・偏微分計算過程の追加:ブール演算法のアルゴリズムに偏微分計算のサブルーチンを追加した。(2)平成26年度は、ブリッジネットワークでICI指標のRI指標およびCI指標に対する優位性を数値計算で明らかにした。平成27年度は、ネットワークを田の字型ネットワークへ拡大し、同時にICI指標の一般的優位性を明らかにするため、リンク信頼度の組合せを2000組の大量サンプルで与えた。結論は、すべてのケースにおいて、ICI指標が費用対効果・公平性の観点で優れており、一般的傾向として新規開発のICI指標が優れていることが明らかとなった。(3)これらの研究成果は、土木計画学研究発表会2015年春大会、同秋大会およびEWGT2015にて発表した。2016(平成28)年度は、同2016年春大会(2編)、同秋大会(2編)、EWGT2016にて発表した。2017年度は、同春大会、秋大会、都市情報学研究にて発表した。その他、投稿準備中の論文も複数存在している。
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