研究課題/領域番号 |
26420523
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大窪 健之 立命館大学, 理工学部, 教授 (10252470)
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研究分担者 |
林 倫子 立命館大学, 理工学部, 助教 (60609808)
金 度源 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (40734794)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 文化遺産防災 / 東日本大震災 / 阪神・淡路大震災 / 地域防災拠点 / 津波避難 / 火災避難 / 歴史災害 / 社寺 |
研究実績の概要 |
東日本大震災においては、津波等による影響で指定避難所が機能不全に陥る例が散見された。このような危機的状況下においても被災地では、これまで繰り返し災害をくぐり抜けてきた歴史ある社寺を始めとする「地域遺産」が、未指定でありながら避難所や支援物資集積所等の「被災者支援拠点」として緊急的に利用され、多くの被災者の避難生活を支えた。この経験を活かして、既存の地域遺産を適した方法でコミュニティ防災計画に補完的に組み込むことができれば、想定外の災害にも強い「歴史防災まちづくり」を実現できる。 本研究では、実際に被災者支援拠点として臨時的に運用された社寺の歴史と活用実態を施設面・運営面の両面から調査する。その特長と問題点を整理した上で、災害リスクの高まる西日本太平洋沿岸域、および木造密集市街地を対象に、地域遺産を活かした津波・都市火災対策指針を導出する。 平成27年度には、平成26年度に実施した東日本大震災による津波および津波火災からの避難に関連する地域遺産の活用実態と、昭和三陸地震の被災史の調査に加えて、あらたに阪神・淡路大震災における、地震火災からの避難に関する地域遺産の活用実態と、地域遺産による延焼抑止効果に関する調査を実施した。 研究の結果として、社寺管理者に対するヒアリング調査や現地調査を基に、「避難地として利用されたスペース」、「日常時における近隣住民らとのコミュニティの震災時の運用内容・運用方法」、「延焼抑止要因」を明らかにすることができた。それらの結果を基に、社寺を対象とした避難地としての特徴や延焼抑止要因としての傾向について整理した。 得られた成果から、今後起こり得る大規模震災発生時においても、社寺などの地域に根ざした拠点が、延焼火災をこえて指定避難所の補完施設として地域を支える可能性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1995年に発生した阪神・淡路大震災の当時の状況を聞取り調査によって明らかにしようと試みたが、2011年の東日本大震災の場合と比べて既に20年以上経過しているため、詳細な状況については確認が難しいケースが多くあり、データの数と密度を高めることが困難となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、予定通りに調査を進める。 ただし調査対象範囲を広げる、もしくは深める必要性があるため、範囲の再検討を行ったうえで予算編成の範囲内で調査旅費を割り当てるなど、柔軟に対応しながら目的の達成を目指す。具体的には、2015年4月25日に発生したネパール・ゴルカ地震においても、伝統的な中庭空間と歴史的な水場などが被災者の避難生活を支えた事実が明らかとなってきたため、これらも含めて調査を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
1995年に発生した阪神・淡路大震災の当時の状況を聞取り調査によって明らかにしようと試みたが、2011年の東日本大震災の場合と比べて既に20年以上経過しているため、詳細な状況については確認が難しいケースが多くあり、データの数と密度を高めることが困難となった。 このため、当初予定通りに調査をすすめることができずに、次年度使用額が生じた次第である。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由のため、調査対象範囲を広げる、もしくは深める必要性があるため、範囲の再検討を行ったうえで予算編成の範囲内で調査旅費を割り当てるなど、柔軟に対応しながら目的の達成を目指す。具体的には、2015年4月25日に発生したネパール・ゴルカ地震においても、世界遺産地区の中の伝統的な中庭空間と歴史的な水場などが被災者の避難生活を支えた事実が明らかとなってきたため、これらも含めて調査を進めるための旅費等に使用する予定である。
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