研究課題/領域番号 |
26420530
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
福原 輝幸 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10156804)
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研究分担者 |
寺崎 寛章 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 特命助教 (40608113)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 塩害 / 津波 / 縦浸透 / 除塩 |
研究実績の概要 |
暗渠による除塩効率を最大にするための“縦浸透除塩シミュレーションモデル”の開発を目的とし,平成26年度には①除塩工事のデータ収集、②室内縦浸透除塩実験、③除塩モデルの構築、④パラメータ評価実験、を行った。 ①に関して、当初予定していた宮城県亘理町の除塩工事は圃場や排水路の整備の遅れに伴い延期されたが、平成27年度4月15日現在までに実施された名取市の4件の除塩工事を対象に実験データを取得・整理し、(i)湛水除塩法では湛水後3日目までが塩溶出が顕著であること、(ii)代掻きにより塩溶出が促進されることを明らかにし、湛水期間を慣例(7~10日間)より短くしても除塩効果には大差なく,除塩工事の短縮可能性を明らかにした。 ②に関して、室内縦浸透除塩実験を実施するために、アクリルボードを組み合わせた矩形の2次元土層試験器を作製した。その試験器には宮城県名取市から実塩害土壌を採取し、実際の圃場を再現できるように装置に充填した。さらに塩分2極センサーの校正試験を実施し、塩濃度推定に必要な校正曲線を得た。次に、その塩分2極センサーを土層試験器の断面から挿入し、土壌中の温度・塩分・水分のモニタリングを開始した。なお、平成27年度4月より、2次元土層試験器を用いた津波再現実験と縦浸透除塩評価実験を開始した。 ③および④に関して、圃場での除塩工事および室内除塩実験の遅れに伴い平成27年度に予定していたモデルの開発とそのモデルに使うパラメーターの評価に注力した。その結果、不飽和分散係数および不飽和透水係数以外の熱・水分および塩移動パラメータが各種室内実験により測定し、概ね予定通りの結果を得られた。また上述の2次元の土層中の熱・水分および塩移動モデルを構築できた。平成27年度には一部の未測定の塩移動パラメーターを取得するとともに、本モデルの妥当性を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度は80%である。未達成である実際の除塩工事の評価は圃場の整備などが遅れていることが理由である。現時点でいつ行うことができるかは不明であるが、工事の状況を宮城県、地権者(農家)等に随時確認し、いつでも除塩評価を行うことができるように入念に準備しておく。また室内土層試験器を用いた除塩実験はセンサーおよび試験器の故障により、実験が遅れたが、その分を補うためにも平成26年度はモデル開発を先行して進めている。いずれも致命的な遅れは見られず、平成27年度には概ね計画書通りに進むものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
除塩工事の状況を宮城県、地権者(農家)等に随時確認し、いつでも除塩評価を行うことができるように入念に準備しておく。また、室内除塩実験は平成27年度4月現在、すでに実験を開始しており、円滑に実験が進んでいる。また予期せぬトラブルが生じた場合にはトラブル解消に向けて人員の増員を考えるなどの対策を講じる。
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次年度使用額が生じた理由 |
最大の理由は除塩工事の遅延が生じたためである。それに伴う旅費や宿泊費等に次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には除塩工事を実施する予定があるとの連絡があり、それに伴う費用に充てたい。
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