研究課題/領域番号 |
26420531
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 俊郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30335103)
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研究分担者 |
李 富生 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (10332686)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ノンポイント汚染 / 水質 / 底泥 / 病原微生物指標 / 大腸菌 / 浄化槽処理水 / 水路 / 負荷 |
研究実績の概要 |
岐阜県内に位置する浄化槽整備地区の放流先水路において詳細な現場調査を複数回実施し,水中の糞便汚染指標微生物である大腸菌群,大腸菌と,さらに腸管系ウイルスの動態及び疫学的指標であるF特異RNAファージを対象として平水時および降雨増水時における放流先水路内での存在実態と,降雨中の糞便汚染指標微生物の流出の特徴を把握し,浄化槽整備地区から流出する糞便汚染指標微生物の負荷評価を行い下流への影響について検討した。主な結果として,浄化槽放流先となる水路において平水時の水量が大きく異なる夏季・冬季のいずれの降雨期間においても,降雨による流量増加時には大腸菌群,大腸菌,F特異RNAファージの濃度は上昇し,浄化槽整備地区から水路等を通じた面源汚染としての流出の特徴が見られることがわかった。また,その水路に直接接続する浄化槽利用区内暗渠からは,降雨期間中は継続して高い濃度レベルの大腸菌を含む水が流出しており,浄化槽処理水が流れる暗渠内に堆積する底質にも微生物が高濃度で存在していることがわかった。さらに,現地調査結果に基づき試算した浄化槽整備地区からの大腸菌の流出負荷量は,下水道等が利用されている同じ人口規模の都市排水地区と比べて晴天時は9倍程度大きいこと,降雨時の糞便汚染指標微生物の負荷は晴天時よりも増大するが,特に大腸菌は他の指標と比べ増加の程度が大きく,指標による負荷流出の特徴が異なることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
浄化槽放流水先水路における降雨時の病原微生物指標を含む水質指標の変化について実態調査を実施し,それをもとに調査地点での負荷量の試算はできたが,浄化槽整備地区自体からの直接的影響を評価するには至らなかった。また昨年ウイルス等の一部項目の分析が出来なかったため,降雨時調査の分析が予定通りに完了することが出来なかった。最終年度の早い段階で,再度測定できなった項目に対する再調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年の降雨時調査において分析できなかったウイルス指標項目(F特異大腸菌ファージ)等の追加調査を実施し,その負荷量試算をすすめる。さらに,水路内の病原微生物指標の生残性に関する現地調査と室内実験を実施し,これまで得られたデータから,浄化槽利用地区における水路環境保全に資する提言をとりまとめる。 昨年,調査対象水路では従来の水利用の形態が異なることが流量観測結果から推察されたため,類似地区を選定し,予備的調査を実施した。その地区での降雨時の調査研究を実施するため,地元との調整を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
微生物分析の実施に人的資源が必要であり,研究協力者のさらなる協力が必要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年と同様に,年度前半において現地調査や水質および微生物項目の分析の実施に,学生アルバイトだけでなく,特定研究補佐員の雇用に使用する。また,これまでと同様に,現地調査や水質分析に必要な資材や薬品等の消耗品の購入,現地調査旅費,学会参加旅費に用いるとともに,成果とりまとめの論文作成やウェブページ作成等に使用する予定である。
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