建築材料として用いるコンクリートの信頼性向上を目的として、その製造過程における各種情報を記録・保存するトレーサビリティ管理システムを構築した。さらに、その後の施工および維持管理段階における各種情報も記録・保存する仕組みを付与して、コンクリートの製造から解体に至るまでのライフサイクルを対象とした履歴情報管理システムへと拡張させた。トレーサビリティを管理するためには、コンクリートに識別番号を付与すること、およびそれに対応した履歴情報を記録・保存することの2つが重要である。前者については、ICタグを識別媒体としてコンクリート中に投入する技術を導入した。後者については、コンクリートの製造から解体に至るまでのライフサイクルにおいて重要となる情報を抽出し、優先順位も勘案しながら履歴情報管理システムに取り込むこととした。 平成29年度(最終年度)は、前年度に構築したライフサイクル履歴情報管理システムを、より実用性の高いものにするため、生コンクリート製造者、建築物の施工者、維持管理者などへのヒアリングを実施することで、システムを精査・改良した。 研究期間全体を通じて、以下の検討を行うことで、ライフサイクル履歴情報管理システムを構築した。 (1) 鉄筋コンクリート中のICタグと鉄筋コンクリート外部のR/Wの通信性に関する調査 (2) コンクリートのライフサイクル履歴情報管理システムのプロトタイプ構築 (3) 実際の建築工事におけるライフサイクル履歴情報管理システムの実証実験
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