本研究では、コンクリート工事の生産性の向上および生産されるコンクリート構造物自体の品質向上を目的として、フレッシュコンクリートのレオロジーモデルを構築・定量化し、施工設計の基礎理論を確立することを目指して研究を行った。 施工設計で不可欠となるのが、フレッシュコンクリートの型枠内における流動挙動の予測であり、この実現には流動解析の適用が最も現実的である。本研究では、前年度において、フレッシュモルタルを用いて、粒子法による型枠内流動挙動の予測手法の検討を行い、回転粘度計による実測されたレオロジー定数の数値解析に対する適用性の検証を行った。その結果からは、現状の数値解析プログラムでは、数値解析上で不可避な、要素分割、構成則、等に対する様々な仮定条件により、実測レオロジー定数をそのまま数値解析に適用することが困難であることが明らかとなった。 以上のような研究成果を踏まえ、本年度の研究においては、実務に適用可能な新たな数値解析プログラムの開発を優先させ、その数値解析上で用いられている構成則に実際のフレッシュコンクリートのレオロジー性質を近似させる手法を用いることとした。 実務に適用可能な数値解析プログラムの条件としては、コンクリートの打設途中のポンプの筒先の移動や振動機の移動をシミュレートするために、リアルタイム解析であることを最優先事項とした。また、建設現場の管理者や作業員にも広く普及させる必要があるために、操作の容易性および開発コストの低減も視野に入れた開発とした。 以上に基づく本年度の研究成果としては、2次元ではあるものの、実大の型枠内のフレッシュコンクリートの流動を、リアルタイムでシミュレートできる解析プログラムの開発に成功した。また、2次元解析とするための型枠内の配筋の再現方法に関する基礎的な実験も行い、2次元解析で3次元の配筋の流動抵抗を再現できる可能性も示した。
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