JISに規定されるコンクリートの促進中性化試験は、材齢28日まで水中養生を行った後、材齢56日まで気中で乾燥させて実施される。しかしながら、混和材のフライアッシュや高炉スラブ微粉末の反応は緩やかであるため、上記の期間では十分に反応しておらず、適切な評価が行われているか疑問が残る。 本研究では、これら混和材を用いたコンクリートの中性化抵抗性を適切に評価するための方法もしくは促進試験方法を提案するために、養生期間(7、28日、1年)および各種養生方法(水中、40℃気中、乾湿繰返し)を変化させた供試体による促進中性化試験を行い、強度および組織構造の変化が中性化特性に及ぼす影響を検討した。 その結果、養生期間の影響については、基準コンクリートおよびフライアッシュを混和したコンクリートでは、材齢28日以降で強度の増進や組織の緻密化が進行するものの、それに比べて中性化速度係数の低下の割合が小さいのに対し、高炉スラグ微粉末を混和したコンクリートは強度の増進や組織の緻密化の進行に応じた中性化速度係数の低下が認められた。養生方法の影響については、水中養生に比べて、40℃気中および乾湿繰返し養生を行ったものは、強度低下および中性化速度係数の増加が認められ、高炉スラグ微粉末を混和したコンクリートでは置換率が大きいほど、その変化が大きく、初期の養生の影響を受けやすいことが分かった。ただし、養生方法にかかわらず、強度と中性化速度係数の関係は1つの曲線で表すことができ、これらの混和材を用いたコンクリートについては、強度を確保することで、基準コンクリートと同等の中性化抵抗性を有すことが分かった。
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