研究課題/領域番号 |
26420561
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
今本 啓一 東京理科大学, 工学部, 教授 (60337300)
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研究分担者 |
小澤 満津雄 群馬大学, その他部局等, 准教授 (80313906)
別府 万寿博 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 教授 (90532797)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 損傷 / 爆轟 / 鉄筋コンクリート部材 / 耐久性 / 超音波伝播速度 / 透気性 / 曲げ剛性 / 曲げ耐力 |
研究実績の概要 |
構造物は時として爆風荷重や熱的作用を受けた後にも自立している必要がある。例えば建屋や格納容器内部において爆発(爆轟)や極高温作用を受けた福島第一原子力発電所は解体までの期間は自立している必要があり,他にも火災を受けた建物がその後も供用されるケースは多い。しかしながら,このような衝撃圧および熱的作用による損傷を受けた構造部材の長期的な変形や耐久性に関する情報は現状,皆無である。損傷を受けた構造物を長期に渡って供用するためには,構造物の使用性や安全性の時間変化としての「耐久性」を評価することが重要である。本研究は,衝撃圧と熱的作用を受けた構造物における損傷とクリープ変形や鉄筋腐食進行の関係を解明し,この耐久性評価に基づく構造物の補修・補強工法の開発・提案を目指すものである。H.27年度は爆轟条件を変化させた複数の損傷試験体を作製し, 1. 損傷程度の非破壊的評価方法,2. 損傷を受けた鉄筋コンクリート部材の曲げ耐力の評価,3. 損傷を受けたコンクリート中の物質移動特性の評価,を行った。 その結果, 1. 損傷の程度は,超音波試験および透気試験によって概ね評価できる。2. 損傷の程度が大きくなることによって,特に鉄筋コンクリートの曲げ剛性が低下すること。またこの低下の程度は超音波伝播速度の相関が高い。3. 損傷を受けることによりコンクリート中の物質移動が容易となり,耐久性の低下が予想される。の知見を得ることができた。 これらの成果を取りまとめ,建築学会大会,コンクリート工学年次大会,材料学会アップグレードシンポジウムおよびセメント技術大会への投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画において,研究工程と役割分担を明確にした上で研究を開始しているため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,損傷を受けた鉄筋コンクリート部材の補強方法について具体的な検討を行う。既往研究において,繊維シート補強により衝撃圧による損傷を低減できることが示されており,このような手法を参考に,損傷後に補強を行った部材に対する構造性能の回復方法を実験的に検証する。 その成果を引き続き,建築学会大会,コンクリート工学年次大会,材料学会アップグレードシンポジウムおよびセメント技術大会に投稿し,その成果の公表に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の設備および消耗品を転用・有効利用した結果として当初計画の予算を抑制することが可能となった。
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次年度使用額の使用計画 |
縮減した予算は次年度(2016年度)の研究費に充当し,当初計画している成果をより充実したものとする。
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