部材端部の破断性状と骨組の降伏機構が建物の終局限界に及ぼす影響を評価できる性能評価手法構築のための基礎研究として,同一の鉄骨造の柱梁接合部試験体に対して,載荷速度(周期1 Hzと0.01 Hz)を因子とした漸増振幅繰返し載荷実験を実施した。本実験から得られた知見を以下に示す。 (1)載荷速度の違いは,材料強度に影響するほどのひずみ速度の違いをもたらさなかったにも関わらず,多少の挙動の差を生み出した。 (2)動的載荷では,静的載荷と比較してより早期に破断し,塑性変形能力が劣った。高力ボルト摩擦接合における滑りなどが原因で,急速な負荷が溶接欠陥を起点とした亀裂伝播を早めた可能性が考えられる。
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