平成26年度および27年年度の研究成果をもとに,平成28年度は新構造システムの開発研究を完了させた。即ち,パイロット事業として実施した3mプロトタイプの開発および施工実験を通じて,本構造システムで問題となる細部を洗い出し,それぞれを明らかにすると共に,それらの問題点の解決策を検討した.その結果を受けて,研究開発の最終目標とする6mスパンの改良型プロトタイプ実験棟の設計を行うと共に,その施工実験を鳥取市で行った。施工実験に於いては,構造システムに付随する部分である基礎スラブ・腰壁等について標準構造設計を実施し,仕様を確定した。また、施工計画を精査し合理的な施工法を実践することにより、本研究で開発した新構造システムが様々なスパンの建築構造物に展開が可能なシステムであることの実証例とすることができた。従って,完成した実験棟は、新構造システムの実例とし今後の展開の起爆剤として活用できる。 一方、新構造システムの設計に有用な,ボルト接合とビス接合の併用継手特性,ボルトの締付けトルクによる継手特性の相違,LVLラミナの使用向きによる継手特性さらに正負交番繰り返し荷重に対する接合部の復元力特性については,継手部分の実物大実験を行うことにより明らかにした。特に,得られた接合部の復元力特性より耐震性能を確認するシステムの構築が可能となった。これらの学術的な研究成果は,平成26年度と27年度に実施した研究成果とあわせてまとめ、最終的に確定したヴォールト構造システムの中大規模の建築構造物への展開の基礎資料とすることができた。 平成28年度で本研究テーマの研究は終了したが,次年度以降も新たなテーマで鳥取県産材の活用策テーマとした研究を継続実施する予定である.
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