研究課題/領域番号 |
26420585
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢野 隆 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30109673)
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研究分担者 |
佐藤 哲身 北海学園大学, 工学部, 教授 (00106767)
西村 強 崇城大学, 情報学部, 教授 (90156109) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 航空機騒音 / 新ターミナルビルの竣工 / 暴露量の段階的変化 / 騒音のうるささ / 過剰反応 / 発展途上国 / ノイバイ国際空港 |
研究実績の概要 |
これまで2014年9月に新ターミナルビル竣工前にハノイノイバイ国際空港周辺の13地区で第1回の社会調査を実施し、2014年12月に新ターミナルビルの竣工を受けて、2015年3月に第2回調査を実施した。本年度は2015年9月に第3回目の社会調査と航空機騒音測定を実施し、すべての調査を終了した。第1、2、3回目の社会調査を通して、それぞれ890、1109、1286の回答を得た。性別や年齢構成、就業状況などの人口統計学的な変数の分布は3回の調査ともほぼ同じであり、暴露反応関係を精度よく比較できることがわかる。飛行回数はそれぞれ1日当たり255、317、308回であり、新ターミナル竣工後に飛行回数は約20%程度増えた。2本ある滑走路の使用状況も変更されたために、各地区の騒音暴露量の変化は複雑である。騒音の暴露量は1週間の連続測定と空港から提供された飛行データを基に、航空機騒音事象を特定して調査地区ごとに暴露量Ldenを算出した。 ターミナルビル竣工に伴う騒音暴露量の変化によってうるささ反応に過剰な反応(excess response)があるかどうかを調べるために、非常にうるさいかどうか(highly annoyed or not)を従属変数、Ldenと第1回調査か第2回調査かを独立変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。その結果、調査の項目に有意差が見られ、過剰反応があることが確認された。このことは騒音暴露量が急に変化しない定常な状態での暴露反応関係から、段階的な暴露量の増加による反応を予測すると過小評価になることを示している。同様の分析を第2回調査と第3回調査にも適用したところ、効果の程度は減少しているものの、調査間に有意な過剰反応が確認された。これらの知見は航空機の発着回数が増加する空港周辺の有効な土地利用計画や騒音政策に適用されうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学術交流協定を結んでいるハノイ建設大学やハノイ鉱山・地質学大学、さらに我が国の航空環境研究センターやベトナム航空局、ノイバイ空港の積極的な協力により、順調に調査・測定が行われたため。
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今後の研究の推進方策 |
調査と測定はすべて完了し、データセットを整備している。今後はうるささに関する分析を睡眠妨害や生活階集う妨害にも適用し、その成果を国際会議やジャーナルに投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算を効率よく執行したため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品等に使用する
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