研究課題/領域番号 |
26420593
|
研究機関 | 国立研究開発法人建築研究所 |
研究代表者 |
三木 保弘 国立研究開発法人建築研究所, その他部局等, その他 (90356014)
|
研究分担者 |
吉澤 望 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40349832)
加藤 未佳 金沢工業大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00409054)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 日照調整装置 / 昼光利用 / 光環境評価 / 照明 / 省エネルギー効果 |
研究実績の概要 |
本研究は、日照調整装置を用いた昼光利用による光環境の質的側面を担保した年間での照明省エネ効果を把握する手法確立のため、日照調整装置を用いた場合の1)グレア予測式の確立、2)明るさ感推定指標の提案、3)照明省エネ効果の年間計算法確立を、人工空を活用した被験者実験に基づき行うことを目的とする。 平成27年度は、1)及び2)の日照調整装置を用いたグレア及び明るさ感推定のための人工空での試行的実験を行い、適切な評価を得るための実験環境を再検討・改善するとともに3)省エネ効果の年間計算のためのモデル作成及び日照調整装置の条件を組み合わせた光環境シミュレーションを行った。 試行的実験の結果、模擬昼光環境は、晴天は模擬平行光についてシミュレーションでの再現性が確保できなかったため代替の実屋外とし、曇天は人工天空で安定した環境となった。日照調整装置のある開口・室内模型は、実際に近いスラット幅となるブラインド模型を角度固定(水平、30度、45度)で作成し、ブラインド単体及び他の建築的日照調整装置+ブラインドの組み合わせを可能とし、さらにグリット照明のLED模型を最大1500lxまでの照度の範囲内で窓近傍から2列毎に調光可能とすることで、年間計算で必要となる昼間の照明運用状況の模型実験環境となるよう改善した。奥行き模型は、短い奥行きの作成・検討を行った結果、明るさ感とグレア評価を年間の省エネ効果の質的担保として考慮する場合、室全体を俯瞰する奥行きによる評価実験とするべきであることを確認した。また、年間計算法のためのシミュレーションについては、模型と対応する仕様のCADモデルを作成し、晴天時の室奥からの視点で日照調整装置を含む輝度分布データを検討し、次年度確立する年間省エネ効果の計算法で最終的に想定される明るさ・グレアが担保されると見込まれる範囲の室・装置の仕様を仮設的に検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた評価実験の実施については、試行的実験を通じ、模擬昼光環境の再現性の検討及び、模型で新たに作成したブラインドの大きさ・角度設定、LED照明で確保できる照度レベルと列毎の調光等を、現実の昼光利用時の照明制御環境にできるだけ近づける作業を行うこととなったため、当該年度夏期からの本実験実施には至らなかった。しかしながら、角度の異なるブラインドとその他の建築的日照装置を組み合わせ、窓との距離により照明の調光レベルを広範囲で設定でき現実的な評価用模型として設定が完了した。実験は次年度初めより開始可能である。また、評価実験実施は遅れているため、その分、次年度に予定していた光環境のシミュレーションについては当該年度に先行して実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
模型の評価実験は、ブラインドの角度も含め、組み合わせが多大となるため、被験者実験は代表的な季節及び時刻における評価として、光環境シミュレーションによる輝度分布解析による推定でその他の条件の評価を補うこととする。また、グレアについては絶対評価、明るさ感は基準ボックスを用いた相対評価としてME法を用い、ブラインドを有する室との比較で、日照調整装置+ブラインドの組み合わせについて、室内の水平面照度が一定となるよう調光する設定を対象に、晴天は実屋外、曇天は人工空で評価実験を行う。年間計算法は、模型の設定と対応させた年間での光環境シミュレーションと消費量計算プログラムによる照明電力年間計算を行い、評価実験の解析の結果を踏まえてグレア及び明るさ感に問題がある範囲に対応する日照調整装置と室の仕様、その場合のブラインドの消費量に対する相対的な割合として整理する。グレア及び明るさ感の予測については、対応する条件の仕様・輝度分布との関係を整理し、簡易予測としてとりまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額については、被験者実験の実施が次年度初めの開始となったため、実験被験者及び実験補助の人件費・謝金相当金額として生じているものである。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度においては評価実験を多く実施する予定であり、それらの増分として実験被験者及び実験補助の人件費・謝金に充当させる。
|