論文・報告書等で公表されている、木造建築物の音環境性能について文献調査を実施した。その結果、音環境性能の内、戸建などの小規模木造建築物の床衝撃音遮断性能の測定事例はあるものの、大規模木造建築物の測定はほとんどなかったが、断面仕様別に床衝撃音遮断性能の整理を行った。 木造建築物の内、平成25年12年にJAS化されたCLT(直交集成板)に関する検討を中心に行った。CLTを用いた界床の床衝撃音遮断性能については、駆動点インピーダンス変化による推察できる。150mm厚のコンクリートスラブとCLTパネル(国産90mm厚、国産150mm厚、外国産145mm厚)の駆動点インピーダンスの測定を実施した。その結果、コンクリートとCLTを比較すると、概ね20~30dB程度の差があることが明らかになった。そのため、対策としては、衝撃入力を低減させる乾式二重床構造の施工、躯体の質量や剛性を増加、遮音天井の設置が必要であると考えられた。 また、CLTパネル(150mm厚)による界壁の空気音遮断性能の測定を実施した。その結果、150mm厚CLTパネルを用いた界壁は、質量則による計算値でも基準法の遮音性能を満足していないことがわかった。さらに実測値では、コインシデンス効果の影響とみられる遮音性能の落ち込みが確認できた。そのため、CLTを二重に配置、あるいはせっこうボード等により二重壁を新たに追加するなどの対策が必要であると考えられた。 さらには、CLTパネル150mm厚を床、90mm厚を壁と想定した小模型を製作し、フランキングに関する測定方法の検討を行った。床面にインパクトハンマで衝撃加振を行い、加振力と床面および壁面の振動速度応答の測定方法を行うこととした。 得られた成果の一部については論文発表を行い、測定方法についてはヒアリング等により妥当性を確認した。
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