「津波浸水想定に基づく津波避難施設のあり方に関する研究」 3カ年の本研究の目的は、避難施設となる学校、庁舎や病院の立地、津波避難ビルの指定が、新たな津波浸水想定でどのように変化するか事例研究する。また、既存の津波避難施設が果たした役割を東北地方太平洋沖地震による津波被災地で検証し、その教訓を南海トラフによる巨大地震・津波の可能性の高い地域に適用する方策を研究することである。 初年度である平成26年度には、(1)東日本大震災における津波避難ビルの果たした役割(2)津波避難ビル等の全国実態の把握分析を行い、研究成果を得てそれぞれ学会等の場で発表した。平成27年度には、新たな津波浸水想定による水深5m以上の地区の状況と津波避難ビル指定との関係を調べ、平成28年4月現在、都市計画学会へ「全国の津波避難ビルの現状と動向に関する研究;東日本大震災後に見直された想定浸水深と津波避難ビル数との関係」を、日本建築学会へは「都市規模と津波避難ビルの用途との関係に関する研究」をそれぞれ投稿中である。 また、2015年1月に東京大学で行われたTokyo Conference on International Study for Disaster Risk Reduction and ResilienceにてTrend of Tsunami Evacuation Buildings in the Affected Regions by 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunamiと題して発表を行い、国際的に紹介した。 なお、残念ながら平成28年4月に政策研究大学院大学を退職したため、本研究は3年間のところを2年で打ち切りせざるを得なくなった。ただし、その進捗を早めて研究を行ったため、日本国内の現地調査を除き、ほぼ当初予定通り実施できたと考える。
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