研究実績の概要 |
本研究の具体的な目的は、Ⅰ.地方都市居住の高齢者の生活圏域の実態と福祉行政圏域の比較事例考察、Ⅱ.地方都市居住の高齢者の生活圏域の特性に関する地域横断的考察である。 平成28年度(3年目)の調査研究計画は、Ⅱ.地方都市居住の高齢者の生活圏域の特性に関する地域横断的考察である。1,2年目に調査した加賀市、珠洲市での具体的事例に、先行研究の金沢市での事例も加えて、異なる都市構造をもつ3つの地方都市を横断的に比較して、高齢者の生活圏域に関する特性を明らかにした。 その結果、まず高齢者の生活圏の共通特性として、生活圏の二層性、要介護化による徒歩圏の中空化、徒歩以外による外出時間距離の平均は約12分、要支援・要介護者の外出距離を伸ばす外出先は一次・二次医療機関、介護施設、生活圏は二次医療機関や購買施設等が立地する地区周辺で重複することが抽出された。県端部を除き、各地区の外出直線距離の平均値は1~3km内に収まるが、加賀と珠洲では生活圏のやや広域な地区が見受けられた。 さらに高齢者の生活圏域の特性をふまえて福祉行政圏域設定の目安について検討した。具体的には、地域基礎単位としての小学校区を空間距離と地域組織との対応関係から再評価した。そして三都市の高齢者の平均的生活圏の観点から1~3小学校区を示す抽象的範域例としての中学校区の妥当性を確認した。以上が、研究期間全体を通じて実施した研究成果となる。
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