研究課題/領域番号 |
26420610
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
清水 肇 琉球大学, 工学部, 教授 (40244280)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子ども / 学童保育 / 生活行為 / 多様性 / 自律性 |
研究実績の概要 |
本研究テーマに関連して蓄積していた学童保育施設における生活実態調査の詳細データについて、個々の子どもの過ごし方特性の分析手法を整理し、再分析を加えた結果、施設の空間構成と過ごし方の多様性の関係を明確に確認する方法を提示することができた。子どもの過ごし方には、他者との関わり方や距離の取り方の相違、集団行動、必要行動、任意行動に類型化される行為の傾向の相違、無為的な行為や移動などの行為の傾向による多様性があることが確認された。調査対象施設における「コーナー」設置などの工夫と過ごし方の多様性は対応しており、過ごし方の多様性と過ごす空間の選択との関係について事例研究レベルでの確認ができた。 均質でない多様な場所を確保し、適切な定員と屋外での生活行為の保証することで屋内の適度な密度を保つことができれば、多様で自律的な過ごし方が一定程度可能になるという第一次の結論を得ることができた。この成果は、条件の異なる施設との比較研究へと展開することにより、学童保育施設において求められる空間的条件の提示に至る見込みである。 次段階の研究展開のための事例状況確認調査として、新たに13箇所の学童保育施設の空間構成と面積の確認の調査を行った。調査年度は、学童保育について新しい法制度上の運用が行われようとする段階にあり、とくに面積の扱いについては保育所とは異なる面積基準の考え方が求められることが確認できた。 概要調査を行った施設のうちの一施設については、空間構成の改変計画に関与し、新年度において空間構成の変化に伴う子どもの過ごし方の詳細調査を行うための条件整理を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は3年間の研究計画の初年度であり、基本的な研究の論理的枠組みと子どもの生活行為の捉え方の方法論を確立するための既存データの再分析を行うとともに、詳細実態調査のための条件を構築することを目指していた。 既存データの再分析は、研究の論理的基盤を確立する上で大きな成果が得られたとともに、引き続き行う調査の基軸を定めることができた。また、多様な施設の状況確認調査が実現したため、生活実態の詳細観察調査を行うための、施設概要の情報整理が可能となり、その一部については空間改変(リフォーム)が行われる予定であるため、空間構成と過ごし方の多様性の関係について有力な知見を得られる可能性が高まった。 一方では、研究助成の確定時期との関係もあり、年度前半の調査は着手できなかったため、詳細観察調査の時期は次の年度に先送りすることとなった。 全体としては、論理面、方法論の進展および調査研究条件の確保において想定以上の成果があり、一方で実態調査は想定よりやや遅れている。それらを相殺してほぼ想定する程度の研究成果を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
生活行為の詳細実態調査を行い、そこから学童保育施設における子どもの過ごし方の多様性をとらえるとともに、それが保証あるいは阻害されている実態を明らかにし、空間的条件についての原則を整理することを目標としている。 初年度において、一つの施設における過ごし方の多様性と空間構成との対応関係について、基準となる知見を得ることができた。 今後は、条件の異なる施設における詳細調査を行い、知見を体系化することが目標となる。また、空間構成が改変される学童保育施設において過ごし方の事前事後の観察調査を行える可能性があり、望ましい空間構成に関する有力な知見が得られる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は既存データ整理と、施設の概要把握調査に力点を置いたため、研究代表者による単独の現地調査およびデータ整理作業に多くの時間を要し、調査アルバイトを多数要する生活実態観察調査は一部を実施するにとどまった。一方で使用していた機材(パソコンおよび現地討論用のモバイルプロジェクター)が老朽化していたため、更新のための物品費は予定以上を支出したが、謝金額の未支出分が上回った。 また、学童保育施設については、年度を通した調査計画が重要であり、研究助成の決定および執行可能時期と年度前半の調査計画の調整がつかなかったことも、謝金の未支出につながった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、年度前半を含めた現地調査を予定しており、その際には前年度に未使用であった分も含めた謝金の支出を予定している。 さらに、物品費、旅費については前年度と同様の使用を計画している。
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