郊外市街地の整備を目的とした細道路網は、東京の郊外部に広く指定されていることが分かっている。本研究においては、東京都における密集市街地の典型区である東京都杉並区を対象に、計画図の重ね合わせ作業を行い、両者、およびこれまで整備されてきた都市計画道路路線との一致あるいは差異について定量的な分析を加えることにより、これらの道路網計画の計画論的な評価を行うことを目的とする。本研究では、1933年の都市計画道路網図、1961年の細道路網計画図、および2017年時点での都市計画道路網を対象にGIS(地理情報システム)ソフトウェアを用いて図面の重ね合わせを行い、整備・未整備路線の区間の位置を具体的に把握した。 その結果、例えば2017年度の都市計画道路は、東京都心から見て環状方向である南北方向の路線は約40%、放射方向である東西方向の路線は77%にそれぞれ1933年より距離が縮小していることが明らかとなった。 また、450の特定行政庁を対象とし、2002年に行った狭隘道路整備の実務に関するアンケートの再調査を行い、狭隘道路の実態把握、及び取り組み体制の実態を把握した。その結果、狭隘道路とみなした道路を地図上に書き込み整理した台帳の整備状況や、狭隘道路拡幅の誘導・助成に関して、実務上の対応状況が確認された。 計画された路線の総延長距離に関する変化はこれまで研究としてなされていたが、それらの路線の位置や長さを即地的に把握して比較できたことは本研究における成果である。また、狭隘道路に面する個々の敷地所有者が建て替えを行う際に敷地を後退させることによって、拡幅が進捗していくことを1950年の建築基準法制定時には想定していたが、約70経過した現時点でも道路行政の課題となっている実態も明らかにすることができた。
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