本研究は、東北6県に現存し歴史を持つ劇場建築のうち、その多くが野外で行なわれる地歌舞伎を行う舞台建築と舞台・客席が一体化している芝居小屋を対象の中心としている。 前者は、地歌舞伎を行う舞台建築が密集して多く分布していた南会津地方を含み、かつ現在も特徴的な地歌舞伎が存続している福島県内、後者は、東北6県全体について、代表的な事例を中心にその変遷や運営の実態を明らかにした。また、芝居小屋に関しては、典型的な事例を対象に、地域住民への意識調査を行い地域における役割を明らかにした。さらに、地歌舞伎を行う舞台建築と芝居小屋の幾つかの公演時の観客への意識調査を通しても、それらの役割を分析した。
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