研究課題/領域番号 |
26420622
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大内 宏友 日本大学, 生産工学部, 教授 (00203711)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 救急医療 / ドクターヘリ / ドクターカー / GIS / 適正配置 / 道路網形態 / 病院船 / フラクタル |
研究実績の概要 |
平成28年度は救急医療に関して救命率・社会復帰率の向上と、医療の適正化を目標に、救急医療システムのドクターカー・ヘリと地域医療・コミュニティとの関係性から実態を把握し最適距離のネットワーク解析・情報理論によるケーススタディと検証を地方自治体で個別に行われていた救急医療システムの対応を、各行政単位のみではなく、狭域から広域における相互の補助・共同運用体制を確立することにより有効な医療圏の設定モデルを作成できた。地域経済も含めた医療機関の経費の適正化の検討を行う。さらに施設適正配置の道路ネットワークモデルを構築し、地域の密集市街地や農山漁村地域の過疎地域も含めた多様な地域の整備状況に即した救急医療ネットワークの構築を行い、防災・減災と連動した救急医療のドクターカー・ドクターヘリと救急医療関連施設との連携による有効な医療圏域の提示を目途に、具体的には医療・保険・福祉関連の法整備を一体的にとらえ法施策上の問題点を整理し、サービス需給に着目した圏域的分析手法により、都市・地域計画における救急医療システムと都市・地域計画の整備指針の判断基準を検証した。以上のことから①道路交通法の検討②航空法からドクターヘリと消防防災ヘリとの位置づけ③ドクターヘリの緊急離着陸場の設置基準④高速道路における緊急離着陸について⑤運営経費の適正化の検討⑥過疎地域、限界集落等の人口減少地域の問題点・都市・地域計画の法整備等を整理することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域住民の生活領域の形成地域における多様な生産活動との関連性を把握し構造を検討し、都市・地域の類型化と地域空間モデル化への検証の準備が整いつつある.具体的には、ドクターカーについては,搬送記録を基に有効医療圏域を現状の定量的な評価として提示し、地域にて早期に医療行為を開始出来得る救急医療システムと施設配置のあり方を把握するために,救急車・ドクターカー・ドクターヘリの三者をふまえた広域救急医療連携における関連施設の定量的な配置計画を提示した。さらに地理的条件 ( 消防署・病院・RP・道路網・人口分布 ) に応じた任意地点毎のドクターヘリ及びドクターカー運用効果として,医師による医療行為開始までに要する時間の短縮時間と短縮による救命率向上率の算出とそれを享受可能な人口の算出を行った。それにより,ドクターヘリ及びドクターカー運用における現場毎の要請判断に関わる資料の提示と,RPや基地病院といった関連施設の配置計画の定量的な評価が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は実現可能性に向けた地域空間モデルの構築に向けて、①全救急医療業務におけるデータ解析より有効出動範囲を把握し、地域の整備状況より出動範囲の圏域を類型化し、 地域空間モデルとして構築に向けた検討。②救急医療サービスを受給可能と考えられる圏域内人口数による指標の提示、及び圏域的計画手法の構築に向けた検討を行う。 ③地域医療の崩壊は地域経済の再生の視点なくしてありえない。その意味で、救急医療システム全体の費用対効果を計量化し、ビジネスモデルの検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の総合的な取りまとめの段階であることから、人件費等に一定の予算を見込んでいる。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題である、救急車・ドクターカー・ドクターヘリといった異なるシステムによる運用効果を複合的に検討する際のデータを検討する際の人件費等に使用する予定である。
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