研究課題/領域番号 |
26420622
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大内 宏友 日本大学, 生産工学部, 教授 (00203711)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 環境デザイン / 生命環境モデル / 救急医療 / ドクターカー / ドクターヘリ / 病院船 / 適正配置 |
研究実績の概要 |
都市・地域計画における救急医療の救命率・社会復帰率の向上へと,地域医療・コミュニティとの関係性から実態を把握し,救急医療システムを,各行政単位のみではなく,狭域から広域における有効な医療圏の設定モデルを作成の上,施設適正配置の道路ネットワークモデルを構築し,防災・減災に関してGIS(地理情報システム)の生命を守るシステムの構築に向け,生命環境のモデル化を全ての生物種が永続的に生存しえる関係性によって成り立つサステナブルな環境形成について,生命を育む社会に向けた空間モデルの提案までを視野に海外の地域にても利活用できるシミュレーションモデルとして,地域医療や災害時の国際的な課題にも対応できる,生命環 境モデルの構築を目指し研究を進めている。 特に当該年度に実施した研究の成果として、「救急医療システムにおける病院船の地域間連携による圏域の可視化について」日本建築学会技術報告集( 23巻(54号) 725-730 2017年6月)にて首都圏を含む東京湾及び海域に位置する東京都・千葉県・神奈川県を対象地域とする。病院船については、船舶の輸送力、船舶の有する多目的に利用可能な空間、ライフライン機能の搭載や備蓄機能等の船舶の自己完結性に鑑みれば、様々な役割が期待される。陸路の搬送が困難になることに備え、地域にて最短で治療を開始出来える救急医療システムと施設配置のあり方を把握する為の、病院船・ドクターカー・ドクターヘリの三者をふまえた広域救急医療連携の定量的に救急医療の有効な圏域を可視化することが出来た. 以上のことからも、これらの成果は救急医療施設の適正配置の有効な資料となると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
首都圏を中心に研究を進め、都心近くを流れる多摩川、荒川、江戸川、鶴見川の4河川沿いに船を使用し緊急物資を送り込む計画を策定中である。各河川の船着場や河川敷にある道路を活用して医薬品をはじめ復旧に必要な種機材を搬送する計画である。国土交通省は2014年度に「八方向作戦」を立案。大震災に対して8つの方向から都心へ向かう東名道路、中央道、関越道、東北道、常磐道、京葉道、東京湾アクアライン、首都高速横羽線、において物資を運び込むこととした。しかし8沿線の交通の渋滞や建物倒壊などによる、道路の途絶が起こった場合、これらの地域への海上からのアプローチによる道路と河川のネトワークによる地域の安全確保を構築することは重要であると考えられる。阪神淡路大震災の際は、急きょ巡回診療を中断し、愛媛県松山港から岡山に回航して「災害救助船」として医療救援活動に参加した。これらは大規模災害時には、医師や診療物資の運搬、診療拠点としての運用可能性が大であることを確認できた。さらに近年、大災害時でのヘリコプターを活用した救急救命活動の有効性も検証された。
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今後の研究の推進方策 |
地方自治体で個別に行われていた救急医療システムの対応を、各行政単位のみではなく、狭域から広域における相互の補助・共同運用体制を確立することにより医療圏の設定モデルを作成し、さらに地域ネットワークによる医療システムの構築の整備により、地域経済も含めた医療機関の経費の適正化の検討を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 一部の地域で現地調査を実施できなかった為。 (使用計画) 現地調査の一部の謝金として使用を予定している。
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