研究課題/領域番号 |
26420634
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
李 燕 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (30281504)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 環境政策 / 都市計画 / 温室効果ガスインベントリ / 低炭素 / 中国 |
研究実績の概要 |
低炭素都市計画や都市政策を評価する際には都市の温室効果ガス(U-GHG)を(1)街区レベルで推定することが必要である。また、国レベルと違って、(2)統計データへの依存が少なく簡素な方法で推定し、(3)政策決定者や市民に分かりやすい結果を出すことが望ましい。特に(2)に関しては、統計データが不十分で排出量削減が急務となっている新興国にとってもたいへん重要であり、世界的に関心を集めている。本研究は日本現行のU-GHG排出量推定方法を検証したうえで、その経験を活かしながら、以上の3点を満たす新しい推定方法を開発し、さらに中国の低炭素都市計画・政策評価への応用を試みることを目的とする。28年度は次のことを中心に研究調査を行った。 (1)国際機関で推進されているU-GHGインベントリ推定方法(Global Protocol for Community-Scale Greenhouse Gas Emission Inventories)を北京市に応用し、その問題点を調べ、さらに日本で行われるU-GHGインベントリの手法も加えた推定方法を試みた。その初期段階の研究成果をH27年度において学会で発表したが、H28年度においては、それをさらに精緻化し、成果をまとめ、国際論文誌に投稿し、掲載された。 (2)大分県を例として、日本のU-GHGインベントリ手法の実証および市街地レベルのU-GHGの空間分布について研究を続け、その成果をまとめ、国際有力誌への投稿を計画している。これはU-GHGインベントリ手法の新たな提案になり、今後この分野への貢献になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在までに北京市等において調査やデータ分析を行ってきたが、研究目的を達成するためには首都レベルだけでなく、地方都市レベルにおいてもその手法が応用できるかを検証し、推定方法の精度や妥当性を高める必要がある。地方都市レベルの研究は予想以上に困難であり、進み方を考え直す必要があるため、当初の計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
中国の地方都市レベルの温室効果ガスインベントリについて、日本を含め、世界各国の経験を踏まえながら研究していきたいと考えている。具体的には、浙江省、杭州市および杭州市の区、あるいは江蘇省、蘇州市および蘇州市の区を対象に、北京について用いた研究手法を応用し、検証する。その後、研究成果を取りまとめ、国際誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は統計データに依存しない簡易な方法で、温室効果ガスを街区レベルで推定できる手法の確立を目的としている。現在までに北京市等において調査やデータ分析を行ってきたが、研究目的を達成するためには首都レベルだけでなく、地方都市レベルにおいてもその手法が応用できるかを検証し、推定方法の精度や妥当性を高める必要がある。地方都市における調査を予定していたが、遂行することができなかったため、調査に関する費用や、調査に伴うデータ分析の費用などが残ってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額はそのための現地調査、データ分析、研究成果発表の費用に充てる。
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