研究課題/領域番号 |
26420636
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小林 勉 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10646938)
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研究分担者 |
西村 伸也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50180641)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 町家 / せがい造り / 出し桁造り / 伝統構法 / 輪島・黒島 / 平入り |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、石川県内の廻船で栄えた寄港地である輪島市黒島の町家を調査した。明治初期から昭和30年頃までの町家50件を対象とした。一次調査は町並みの屋根形状・軒先構法に着目し写真撮影などを行った。二次調査では、たるき間隔・腕木間隔・それら部材寸法などを実測調査した。主に外部空間のデイテールを中心に調査した。また、同時にヒアリング調査も行った。黒島では、以下のことが捉えられた。1)・屋根形状は二階平入りの他、二階妻・二階入母屋も見られた。2)・せがい梁間隔@1820㎜の柱だし構法も見られるが、@1820㎜間隔の登り梁構法が全体の60%を占めていた。3)・せがい梁断面寸法は90×90~180×210㎜という幅広いスケールの断面寸法が特徴的である4)・たる木間隔は、@227.5㎜と幅の広い390~455㎜までの2種類に大別された。5)・たる木断面寸法は、54×54~75×90㎜までの太い断面寸法が80%以上を占めていた。軒先のたる木が骨太な印象を景観に与えていた。6)・腕木出幅(軒先を支える片持ち梁)は、600~750㎜が60%以上を占め、残りは軒先がさらに出ている910~1050㎜であった。長い出幅が特徴的である。7)・のし瓦については、数件黒島でも見られた。また、玄関先にあるさがりも黒島では8軒ほど見られた。以上がその概要である。本調査と前年度の金石の町家の比較分析も合わせて行った。 本調査は、「輪島市黒島の町家ファサードの研究-軒先廻りの建築構法形状-」として日本建築学会北陸支部大会にて報告する予定である。さらに、「新潟県・石川県の廻船ルート沿いの町家 軒先廻りの建築構法の形状比較」は、日本建築学会大会のオーガナイズ・セッションで発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金石・黒島とおおむね順調に調査が進められた。天候にも恵まれ外部空間の実測では十分な調査ができた。ただ前年度の金石では4軒程度の内部調査ができたが、黒島では目視調査することはできたが実測調査まで進められなかった。その原因は調査開始が夏以降であったことが原因と思われる。輪島については、町歩きの事前調査で町家が少なく目視調査で終了した。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進んでいるため予定道り進めてゆく。ただ、輪島に変わり石川県内の廻船寄港地をもう一か所調査しようと考えている。今後は、富山県内へ移行し、先に岩瀬浜と高岡市などを対象として研究を進める。さらに、金石・黒島の内部空間の実測追調査を行いたい。以上が今後の方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
輪島市内の調査が目視調査で終わり、実測調査へ至らなかったこと、また、黒島の町家の内部実測調査を行えなかったことが旅費・物品費及び謝金と差異が生じた原因ではないかと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、実測調査の時期を早め金石・黒島の内部調査と合わせ輪島市と変わる町家を調査し、富山県の岩瀬浜を同時に調査したい。そのため、研究室補助学生などの体制などをもう一度整え対応したい。
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