研究課題/領域番号 |
26420637
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
鶴田 佳子 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90223081)
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研究分担者 |
海道 清信 名城大学, 都市情報学部, 教授 (80278332)
坂本 淳 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (90548299)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 開発許可レビュープロセス / 景観法 / 届出手続き過程 / 住民組織 / 住民参加組織 / 自治体職員体制 / アメリカ / コペンハーゲン |
研究実績の概要 |
景観法運用過程での先進事例の住民参加を含んだ都市計画レビューシステムの現状把握としては、鎌倉市、石垣市、浦添市、各務原市の自治体および住民組織にインタビュー調査を行った。その結果、計画策定後の届出手続過程での住民参加については、地区を限定する重点地区では、鎌倉市において、景観条例に景観形成協議会との事前協議を義務づける取組が規定されており、実際に2地区で運用されていることが確認できた。一方で、運用に当っては、景観形成基準作成時にも住民が主体的に関わることに加え、建築家等によって構成される地元専門家組織等の支援が不可欠であることが示唆された。その他の都市についても、届出手続過程での住民参加の取組はないものの、景観形成基準策定に関わる中で、景観やまちづくりに関わる意識が醸成され、景観形成基準策定後も景観を見守る意識を持ちつつ、まちづくり活動が継続していることが確認できた。 欧米諸都市における都市計画レビューシステムについては、成熟した民主主義社会として知られているデンマークの中でも、ヨーロッパ環境首都2014にも選定され、優れた市民生活の質を実現しているコペンハーゲンを取り上げた、都市空間の保全と形成にかかわる都市計画システムにおける住民・市民参画および地域空間特性との関連を明らかにする第1段階として、開発、建築行為の許可システムで重要な役割を果たしているローカルプランと地域特性との関係を明らかにした。 計画策定段階におけるワークショップ参加者のまちづくり活動に関わる意識変化の検証としては、住民のまちづくり意識がいまだ希薄な地域として、岐阜県本巣市を取り上げ、市として初めて実施する住民ワークショップにおける参加者の発言数の考察を通し、これまでほとんどまちづくり参加経験のない住民に対して,継続した参画意識醸成に効果的と考えられるWS運営に関わる知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
景観法運用過程での住民参加を含んだ都市計画レビューシステムの現状把握については、4都市のインタビュー調査を行うことができたが、その他の予定していた先進事例の中にはインタビュー調査対象とするまで成熟していないものもあった。今後は分析結果を一般論化するためにも、調査対象事例を増やしていく必要がある。 欧米諸都市における都市計画レビューシステムについては、デンマークの都市計画システムを理解するのに時間を要し、ローカルプランについては策定状況の把握に留まり、市民・住民参加を含んだ策定過程の分析まで踏み込むことでできなかった。 計画策定段階におけるワークショップ参加者のまちづくり活動に関わる意識変化の検証としては、住民のまちづくり意識がいまだ希薄な地域として、岐阜県本巣市を取り上げ、市として初めて実施する住民ワークショップにおける参加者の発言数の考察を通し、これまでほとんどまちづくり参加経験のない住民に対して,継続した参画意識醸成に効果的と考えられるWS運営に関わる知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
景観法運用過程で住民参加を含んだ都市計画レビューシステムの現状把握については、これまで研究対象としてきた全国303市町村(平成24年5月現在景観計画策定)に加え、26年3月31日現在までに景観計画が策定された103市町村を追加して、届出手続き過程で住民参加を実践している市町村をピックアップして先進事例調査を行う。 欧米諸都市における都市計画レビューシステムとしては、コペンハーゲン市のローカルプランの具体的内容および策定過程の把握を行い、市民・住民参加について分析を行う。 また、アメリカについては、市民から選出されたコミッショナーが行政の責任者の役割を担うCommissioner制を採用し、より民意が反映しやすい行政システムを採用しているポートランド市について土地利用開発許可のレビュースシステムのおける市民・住民参加の仕組みを把握する。土地利用開発許可のレビュースシステムの基本的な仕組みについては市ホームページに公開されいるweb資料を用い調査するとともに、実際の運用実態については、ポートランド大学の西芝雅美教授の協力を得ながら、現地での自治体担当者および住民組織へのインタビューを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
先進事例の国内調査が4事例に留まったことと、二年度目(平成27年度)以降のアメリカおよびデンマークへの現地インタビュー調査費を確保するため。
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次年度使用額の使用計画 |
追加の約100市町村から新たな先進事例をピックアップして追加の国内調査を実施するとともに、27年度にポートランド市およびニューヨーク市への現地インタビュー調査、28年度にコペンハーゲン市への現地インタビュー調査を予定している。
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