韓国伝統庭園には、瞑想、思索のための「別墅庭園」がある。本研究は朝鮮時代の別墅庭園が多く残る湖南地方において、別墅庭園を実測調査し、その形態的、文化的特徴を明らかとするものである。別所庭園は、塀を持たない開放型であることが特徴である。建築形態の調査、庭園立地の地理情報分析、庭園の扁額を読み込む文学表象分析から、庭園は里を囲い込む山稜の重なり合う山容景観を主景する立地を選び、建築・庭園形態ともに、眺望を旨としたデザイン様式が発達していることが理解される。加えて、中国庭園文化に比較し、その庭園が象徴する世界観が、より思想的、宇宙的な広大で抽象的な文学表象として扁額に記される傾向も理解される。
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