研究課題/領域番号 |
26420641
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
野口 昌夫 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (90218305)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 都市史 / イタリア都市形成史 / 海洋都市 / リグーリア州 |
研究実績の概要 |
研究実施計画の中のリグーリア州東部リグーリア海沿岸の小都市と後背地域を対象とし、平成26年11月13日から27日まで、モンテロッソ・アル・マーレ、ヴェルナッツァ、コル二リア、マナローラ、リオ・マッジョーレ(以上、チンクエ・テッレ地域として世界遺産登録1988年)、レヴァント、ポルトヴェネレの現地に滞在して調査研究を行った。この地域・海域は、中世後期にピサ共和国とジェノヴァ共和国が海域支配をめぐって、長期にわたる覇権争いを繰り返してきたが、1284年にメロリアの海戦でピサがジェノヴァに敗れて以来、リグーリア海はジェノヴァ共和国の支配下に置かれることになり、海域を通して繋がっている隣国のフィレンツェ共和国のトスカーナ支配に重大な影響を及ぼした。その後の16-17世紀におけるジェノヴァ支配下の海洋都市と後背地域の形成過程、ならびに東リグーリア海の交易ネットワークの実態を把握する目的で、現地の各都市の市役所、文書館にて資料・史料を渉猟するとともに、様々な地図資料(カルトグラフィア)収集、写真撮影、部分的な実測を行った。また、ジェノヴァ大学建築学部図書館、ジェノヴァ国立文書館にて、さらなる文献・資料を精査した。上記の初年度の作業を通して、今後3年間の調査方法、分析方法を確立させようとしている最中である。さらに、ジェノヴァ大学建築学部の教授、研究者との交流も今後のために重要であると考え、数人の方々にお会いできたことも、大きな成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
11月の調査以来、持ち帰ったすべての資料を整理して、分析を進めている。図像資料以外の文献・史料はすべてイタリア語、フランス語、ラテン語であるため、解読作業に多くの時間を割かなければならないが、おおむね順調に進行している。またカタスト(課税用不動産登記台帳、19世紀前半)はすべて筆記体で書かれているため、文字の読み取り作業も手間取っている。しかし、以上は時間をかければ終了する作業であるため、次回の調査までには今回の調査の成果をまとめることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、10月に2週間ほどの期間を現地調査に当てる予定であり、調査地はジェノヴァの西側(西リグーリア海)のサヴォナ、アルベンガ、アラッシオ、ディアノ・マリーノ、インペリア(ポルト・マウリツィオ)サンレモ、ヴェンティミリア等の海洋小都市で、それについては今年度に実行した調査方法で行う。さらに、後背の丘陵地に点在する中世起源の丘上都市を対象に、特に北側への歴史的な街道ネットワークの形成過程を解明するための資料・史料収集、ならびに実地調査を行う。その後ジェノヴァ大学建築学部図書館と国立文書館で文献・資料を収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費とその他が、予想以上に少なくなったのは、大学の研究費を使用したためである。また、海外調査の日数が予定よりも短期になった事も、その要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はデジタルカメラなどの購入を予定しているため、その一部に次年度使用額を充てる予定である。
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