平成29年度10月01日から10月12日まで、リグーリア州に接するピエモンテ州南側の内陸小都市を対象に、これまで調査してきたリグーリア海沿いの海洋小都市とアペニン山脈を越えた後背地域との交易・流通ルートを明確化することを目的として、として、調査を行った。まず、リグーリア州西部のサヴォナを再調査し、サヴォイア家が地中海側への出口としてジェノヴァ共和国から奪回しようとし、19世紀にはピエモンテ様式の都市計画が実現したことを確認し、そこから街道を北西に向かい、リグーリア州とピエモンテ州の境界を越えてモンドヴィに到り、そこを調査拠点とした。その後さらに街道を北上し、フォッサ-ノ、サルッツォ、ラッコニージを調査してトリノに至り、トリノ工科大学建築学部図書館で史料・資料・図像資料を収集した。その後は別の街道を南下し、アスティ、アルバ、ブラを調査した後、サヴォナに戻った。 また後日、リグーリア州最西端のヴェンティミリアからもう一つの重要な街道を北上し、ピエモンテ州のクーネオまでの小都市を調査した。この街道はリグーリア州から途中だフランスに入り、その後ピエモンテ州に入る特殊な辺境ルートだが、19世紀以前はすべてイタリア領土であった。 全体を通して、アペニン山脈の西端を越えてリグーリア州の海洋小都市から北上すると、ピエモンテ州の内陸小都市は、いくつかの街道とその支脈に、両者を交易面で結びつける産業が存在し、それは木材などを海側に送るような産業都市と、その中継点となる宿駅都市に分けられることが判明した。
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