三輪神道系大工儀礼書の所在調査と、その内容の検証を行った。三輪神道系大工儀礼書で最古の物は、茨城県歴史館所蔵の普門寺史料「番近大事17通」の1543(天文12)年である。所在調査の結果、秋田、福島、埼玉、東京、静岡、石川、大阪、京都、奈良、和歌山、兵庫、長崎に存在することが明らかとなった。現在でも巻物を伝授しているのは福島県奥会津地方のみであることが明らかとなった。 三輪神道系大工儀礼書には、大工の始祖を①天津児屋命、②天津児屋命・手木帆負命・彦狭智命、③天津児屋命と中国の伝説的工匠である班輸(魯班)に求める三つがある。
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