20世紀初頭のフランスでは、都市に関心を示す建築家が登場し、前世紀までの伝統的な造園や都市の改良事業とは異なる新たな都市計画が検討されるようになる。本研究は中心的な役割を果たしたアンリ・プロスト(1874-1959)によるヴァール県コート・ダジュール、パリ地域圏、メッスを主な考察の対象として、理念と手法の解明を試みたものである。近代主義全盛の時代に実施された都市計画の基本は歴史主義であり、成功の鍵はミュゼ・ソシアルの議論を踏まえて、山海自然の継承とリゾート地の開発、歴史都市の保全と新都市の建設、歴史的街区の修復と新たな道路網の挿入という相反する事業を同時に実施した点にあることを明らかにした。
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