本研究は、中近世移行期の城下町に注目し、形成過程とその特質を解明することを目的とした。具体的には、織田信長の家臣が越前国に建設した城下町-大野城下町・北庄城下町をとりあげ、両城下町の建設過程、空間的・社会的特質、および織田政権の建設した城下町における位置づけについて検討を加えた。 その結果、①両城下町は、織田信長の建設した安土城下町と同様、既存の町場を城下へ統合し城郭を中心とする一元的な空間構造を達成していたこと、②既存の町場に居住する商工業者を城下へ集住させ、社会的な一元化を実現したこと、③かかる構造を有する城下町が織田政権による城下町建設の到達点のひとつであったことが明らかとなった。
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