研究課題/領域番号 |
26420660
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
水島 あかね 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90454769)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 近代神戸 / 三田藩 / 土地利用 / 志摩三商会 / 小寺泰次郎 / 雑居地 |
研究実績の概要 |
本研究は、最後の三田藩主・九鬼隆義及び志摩三商会に関わった元三田藩士ら(特に小寺泰次郎と白洲退蔵)に着目し、彼らが近代神戸の都市形成に与えた影響について考察することを目的としている。今年度は、志摩三商会に関する資料の収集と専門家へのヒアリング調査等を実施した。志摩三商会に関する資料収集では、特に “神戸ホーム”や“神戸商業講習所”に関する資料、志摩三商会が不動産業を成功させるきっかけとなったと言われる加納町に関する資料に焦点を絞って収集した。 これらの作業を通じて、彼ら(特に九鬼隆義と白洲退蔵)が福澤諭吉の影響を大きく受けていたことが分かってきた。今後は福澤諭吉との書簡を入手し、神戸ホーム建設や土地取得などに福澤諭吉が関係していたかどうかを明らかにしていく予定である。一方、加納町における志摩三商会の所有地の分布や土地運用の実態(土地の取引には小寺泰次郎が中心だったと言われている)の把握については、裏付ける資料が乏しく難航している。ただ、今年度新たに明治10年頃の地籍図が法務局に保管されていることが判明したため、土地の所有地分布については新たな知見が得られる可能性がでてきた。また調査の過程で偶然、小寺泰次郎宛の手紙を入手することができた。その文面から小寺泰次郎が高利貸しをしていたということを少し裏付けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
志摩三商会が事業を展開していた時期は明治初期の頃で非常に短い期間だったこともあり、当時の状況を裏付ける資料が見つからず難航している。そのために「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は取りまとめ作業に入る。新たに入手した明治10年の地籍図を用いて所有地分布図を作成し、昨年度作成した土地分布図と比較する。また、志摩三商会の活動実態については、白洲退蔵や九鬼隆義が福澤諭吉と交わした書簡の分析を進める。また、小寺氏の末裔の方とのコンタクトが取れたので、ヒアリングを実施予定である。最後に、これまでの成果を関連地域の住民などに発表すると同時に、地域に伝わっている当時の話の聞き取りを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料収集のための出張が当初予定していた回数遂行できなかったこと、予定していた関係者へのヒアリングを全て実施することができなかったこと、資料整理や図版作成などの謝金の支出が少なかったことなどによる。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度遂行できなかった資料収集のための出張費用や昨年度実施できなかった関係者への聞き取り調査費用にあてる予定である。また最終年度でもあるため、取りまとめ作業には学生の協力を得るため、その謝金にあてる予定である。
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