研究課題
最近、局在表面プラズモンを利用した環境中の微量有害物質や生体内の微量代謝物質を捉えるバイオセンサーの研究・開発が進められている。従来、誘電体基板表面に有機物を利用して貴金属ナノ粒子を担持するため結合強度やそれらが光学特性に影響を与えるなど課題があったが、イオンやレーザー等の量子ビーム照射により基板表面にナノ粒子を1層だけ分散させる表面改質法を見出した。しかしながら、量子ビーム照射により誘起される基板表面の貴金属薄膜のDewetting 現象の詳細は未解明で特に貴金属が矩形から球形へ変化するレイリー不安定時の挙動が不明である。そこで、本研究では、北海道大学が有する複合量子ビーム超高圧電子顕微鏡を利用し量子ビーム照射誘起Dewetting 現象についてその場観察しその機構解明を目的とした。石英ガラス基板だけでなく、高温作動型の局在表面プラズモンデバイスを着想するに至ったことから非常勤の学術研究員を2年目に雇用しCVD法で作製した柱状晶のβ-SiC基板上の金薄膜のDewetting現象についても詳細に検討した。試料は、現有のイオン研磨装置を利用して基板側からバックシニングを行い、TEM観察が可能な薄膜とした後、現有の蒸着装置を利用し石英ガラス基板あるいはCVD法で作製した柱状晶のβ-SiC基板に金あるいは金-銀の薄膜を5nm~20nm で蒸着した。その後、複合量子ビーム超高圧電子顕微鏡を利用して、Ar+イオン照射下あるいは532nm の短パルスレーザー照射下などの量子ビーム照射下におけるDewetting 現象のその場観察を行った。貴金属の量子ビーム照射下におけるレイリー不安定性について照射量や膜厚との関係を検討した結果、当初の貴金属薄膜厚が薄いほどDewetting後のナノ粒子の平均粒径は小さくなり、可視光の吸収波長も短波長側へブルーシフトする量子効果が発現することを確認した。
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Current Opinion in Solid State and Materials Science
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
http://doi.org/10.1016/j.cossms.2017.01.001
Materials Research Letters
巻: 4 ページ: 212-218
10.1080/21663831.2016.1179228
http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/ryoshi_carem/?page_id=23