今後の研究の推進方策 |
応用科学研究所に初年度で整備した圧縮側から引張側まで一軸性の応力を負荷して無磁場のもとで臨界電流を測定する装置を用いて、初年度に引き続き臨界電流の一軸歪依存性を調査するとともに、磁場印加装置の製作を完了して磁場中一軸応力負荷環境下で試料に貼り付けた歪ゲージにより負荷歪の関数として臨界電流を測定することを計画する。機械―超伝導特性予測モデルの構築のため、複合材料である実用超伝導線材の力学特性、熱特性をもとに複合体の弾塑性挙動を求め、可逆負荷歪を推定し、その範囲における臨界電流の変化の予測方法を開発する。 大同大学において実測された応力―歪関係を定量的に解析し、ヤング率、弾性限、0.2%耐力、引張強度、破断歪を試料毎に整理する。これらのデータを上記の機械―超伝導特性予測モデルの構築に反映させる。 J-PARC「匠」において初年度で整備したスプリングボードで置きかえた低温引張試験機により臨界電流を測定したと同じ温度でBSCCO, REBCO, MgB2, Nb3Sn線材中の超伝導成分に生起する局所歪の測定を行う。本提案による理論的予測を実証するため負荷歪と超伝導成分に生起する歪の関係を明らかにし、重要なパラメータであるAaff, Aacf, Aatf等を決定する。 SPring-8で一軸応力下における室温での歪の精密測定を行うためスプリングボードを小型引張試験機に取付けて一軸応力下での超伝導成分に生起する局所歪を測定することを試みる。
|