チタン、ジルコニア、タンタル等の金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応条件を精査し、アルコールへの溶出によるマクロ孔の形成と、低温での結晶化を試みた。また、調製した各種水和酸化物粒子を原料として、複合酸化物への変換を試みた。本年度は昨年度までの水和チタニア粒子を原料とした系に加え、水和ジルコニウムを原料とした系についても検討を進めた。さらに、タンタル系においては部分窒化による光触媒活性の改善も試みた。以下に具体的な成果を挙げる。 1. 多孔性水和チタニア粒子の温水処理により、結晶性に優れる多孔性チタニア粒子への変換を試みた。色素の光分解試験の結果、マクロ孔を有する粒子は、ミクロ孔の存在により同等のBET比表面積を有する球状の粒子よりも良好な光触媒活性を示すことが明らかとなった。 2. 多孔性水和チタニア粒子を水酸化バリウムと共に温水処理することにより、多孔性のチタン酸バリウム粒子を合成した。重縮合度が低く、マクロ孔を有する多孔性の水和チタニア粒子を原料とすることにより、従来よりも低温(80℃)で鉱化剤を用いずともチタン酸バリウムへの結晶化を可能とした。 3. 均一な粒径を有する球形の水和ジルコニア粒子を原料とし、各種ペロブスカイト型ジルコン酸塩への変換を試みた。高分子系の凝集防止剤を用いた温水変換により、原料の外形を維持したまま、蛍光を示すジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム粒子の合成が可能となった。 4. 均一な粒径を有する球形の水和酸化タンタル粒子をアンモニア気流下で加熱することにより、原料の外形を維持したまま酸窒化物への変換を試みたところ、従来よりも短時間での 部分窒化が可能であった。得られた粒子を用いて色素の光分解試験を行ったところ、可視光化においても分解活性を有することが確認できた。
|