本研究では、ヤーン・テラーイオンに注目することで、酸素透過性セラミックスの高性能化の有効指針を見出すことを目的とした。そのために、Fe系混合導電性ペロブスカイト酸化物に着目し、ヤーン・テラーイオン(Fe4+)を系統的に導入し、 ヤーン・テラーイオン導入量と酸素透過性・酸素欠陥拡散性との相関関係を調査した。La1-xSrxFeO3-dの全導電率の酸素分圧依存性、導電率緩和法より得られた化学拡散係数は、Fe4+量の少ない低酸素分圧領域に比べ、高酸素分圧領域において、酸素欠陥が拡散しやすいことを示唆した。このことから、ヤFe4+に伴う局所歪みが酸素欠陥の拡散を促進させる一要因となると考えている。
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