研究課題/領域番号 |
26420685
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松谷 貴臣 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00411413)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 環境セル / 透過電子顕微鏡 / 化学気相成長法 / アモルファス / 窒化物薄膜 / 触媒反応観察 / プラズマ / 磁場 |
研究実績の概要 |
生体試料や触媒反応のその場観察等、ガス雰囲気下での透過電子顕微鏡観察を実現させるため、試料ホルダーに小さい容器を備えた環境セル型透過電子顕微鏡の開発が試みられている。電子線の発生には高真空が必要なため、環境セルには、電子線を透過し、かつガス を封じ込むことのできる隔膜が必要となる。本研究では、隔膜の材質として電子線の散乱が少なく機械的強度の高い軽元素で構成されるアモルファス窒化物薄膜に着目した。隔膜 の条件として、位相像および振幅像ともに透明な膜が要求されるため、アモルファスでかつ非常に薄い膜が必要となる。ここでは低温で高密度、ピンホールフリーの隔膜を作製するため、新しく磁場・パルスプラズマ援用化学気相成長法(MPPECVD)を提案し、その技 術開発および作製した薄膜の特性評価を行うものである。平成27年度は下記のテーマにおいて行った。 (3) アモルファス窒化物隔膜の耐圧および電子線照射効果 MPPECVDによりアモルファスSiCN隔膜の開発を行い、その耐圧および電子線照射効果を測定した。耐圧は3気圧(0.3×10^6Pa)を保持する隔膜の開発に成功した。電子線照射による耐久性も酸素、窒素および一酸化炭素の混合ガス下で30分以上の高寿命を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
耐圧は3気圧(0.3×10^6Pa)を保持する隔膜の開発に成功した。電子線照射による耐久性も酸素、窒素および一酸化炭素の混合ガス下で30分以上の高寿命を得たことから十分実用に耐えうる隔膜の開発に成功している。現在、透過型電子顕微鏡画像の分解能を上げるため、更なる薄膜化技術の開発を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
隔膜をさらに薄膜化するために、隔膜生成後に更なる窒素プラズマを照射することで10nm程度の薄膜にすることを試みている。この最適条件の究明を行う。その後、研究実施計画で述べた以下のことについて試みる。 (4) 環境セル型透過電子顕微鏡への応用 MPPECVD法の開発および発生したプラズマの分光学的および質量分析学的評価、MPPECVD法によるアモルファス窒化隔膜の作製およびその特性評価、アモルファス窒化物隔膜の耐圧および電子線照射効果について更に探求、改良していくことに加え、得られた知見を基に、実際に環境セル型透過電子顕微鏡へ搭載しその有用性を調べる。これは環境セル内に反応ガスを導入し、開発した隔膜を用いた時の電子顕微鏡像の分解能について評価を行う ものである。隔膜の化学構造や成分比、膜厚に対して、電子線の散乱に対する像のコントラスト変化について調べ、最適膜厚や成分比を調べる。 また,実際に開発した隔膜により、金ナノ触媒の挙動や生体試料等のその場観察を行い、その動的メカニズムを探求する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に分光器を購入予定でしたが、他の研究室より譲渡されたため購入を取りやめ消耗品の購入とした。
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次年度使用額の使用計画 |
隔膜作製用原料及び銅グリッド材料用品費が当初予定していた額より上回るためそれら材料物品費として使用する
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