研究課題/領域番号 |
26420686
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
李 継光 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主幹研究員 (90354381)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 透明セラミック材料 / 球形微粒子 / 焼結 / 光物性 |
研究実績の概要 |
FE-SEMを用い、遠心力成型(2000rpm)および冷間等方圧成型方法(CIP;400MPa)で作った真空焼結用成型体の微構造を比較的に調べた。二種類成型体の密度がほぼ同じ(約62%)ですが、微構造に大きい差があることが分かった。遠心力で作った成型体の内部に球形微粒子はRandomな状態で分布しているが、CIPで得た成型体内に数ミクロンの大きさを有するドメインが存在することを確認した。即ち、CIP成型体の構造は巨視的に均一ですが、微視的に不均一である。密度がより高いため、ドメイン微構造自身は焼結中に優先的に緻密化している。よって、ドメイン同士の間に100ナノ以上の大きさを有する裂け目が出来て焼結体の完全緻密化を妨害する。ドメイン微構造がないため、遠心力で作った成型体は焼結中に均一緻密化していることが分かった。一方、水酸化物ナノシート前駆体由来酸化物微粉とCIP成型法を用い、高度透明なY2O3:Eu、(Y1-xGdx)2O3:EuおよびY2O3:Eu/Tbセラミック材料の真空焼結作製に成功した。うち、Y2O3:Euと(Y1-xGdx)2O3:Euセラミックの可視域での透過率は80%以上であり、単結晶の透過率に匹敵する。最適な焼結温度は1700度であり、より遅い昇温速度は高透明度に有利することが分かった。なお、微構造および蛍光励起/蛍光特性に及ぼすGdとTb含有量の影響を明瞭にした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H27年度の研究内容(粉体成型および焼結挙動に関する研究)を完成した上、希土類水酸化物ナノシートを前駆体とした焼結性の高い酸化物微粉の合成技術を開発した。なお、透過率の高いY2O3:Eu、(Y,Gd)2O3:EuおよびY2O3:Eu/Tbセラミック材料の真空焼結作製に成功した。材料の微構造およ蛍光励起/蛍光特性に及ばす組成の影響もわかった。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)球形微粒子および遠心力成型法を用いた成型体を作る。真空焼結で透光性が単結晶に匹敵する[(Y1-xGdx)1-yTby]2O3透明セラミック材料を作製する。焼結体の微構造および光物性に及ばす焼結条件の影響を調べる; (2)焼結体の微構造(特に粒界)をFE-SEMとTEMなどで分析する; (3)作った透明セラミック焼結体の蛍光性能(励起/蛍光強度、蛍光量子収率、蛍光寿命)を分光計で調べる。蛍光特性に及ばす微構造と組成の影響を明瞭にする; (4)蛍光特性に対するGd3+イオンからTb3+イオンへのエネルギー移転の影響を検討する
|