ピラミッド型微粒子が規則的に集合した内部階層構造を有する球状酸化亜鉛粉末の、VOCガスセンサの応用について検討した。エチレングリコールを用いる新規水熱合成法により、c(+)面を表面に向け規則的に凝集したピラミッド型粒子で構成された球状酸化亜鉛粒子を合成し、さらにc(+)面に選択的に貴金属ナノ粒子を付着させ、この粉末を用いてガスセンサを作製し、酸化亜鉛粒子の内部構造効果と貴金属ナノ粒子の付着効果によるセンサ感度の向上を目指した。 平成26年度は、構造を制御した酸化亜鉛粉末の合成と、酸化亜鉛球状粒子の内部構造への貴金属ナノ粒子の付着について調べた。 酸化亜鉛粒子の析出には、エチレングリコールを溶媒に加えた水熱法を用いた。酢酸亜鉛、ヘキサメチレンテトラミンを水とエチレングリコールの混合溶媒に溶解し、加圧容器に入れて、恒温装置にて加熱し、沈殿物を回収した。合成した酸化亜鉛粉末は、SEM、TEMなどの手法でキャラクタリゼーションを行った。 酸化亜鉛球状粒子は、c(+)面を底面に持つピラミッド型の粒子から構成され、その底面を球の表面に向けて規則的に凝集している。マイナスにチャージさせた貴金属コロイドを付加すると、貴金属ナノ粒子をピラミッド粒子底面に配列付着することができると考えられる。そこで、貴金属錯体の水溶液に還元剤を混合して合成したマイナス電荷をもったコロイド粒子を、酸化亜鉛のc(+)面に貴金属ナノ粒子を付着させることを試みた。
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