水銀使用の規制に伴い水銀ランプに替わる新しい紫外線発光材料が求められている。AlN関連構造はEu2+添加により電子線励起で非常に明るい発光を示すことが知られており電子線励起に適した蛍光体母体材料と考えられる。Eu2+に代わり紫外線発光できる発光中心をドープできれば電子線励起で高強度の紫外線発光が期待できる。本研究ではAlN派生層状化合物を母体構造に用いて、紫外線発光が可能なGd3+やCe3+の発光中心をドープした蛍光体を合成し、電子線励起で高強度の紫外線発光を得ることを目的としている。 本年度ではAlN系積層欠陥、AlNポリタイポイド型構造にGd3+発光中心をドープさせることを試みた。AlN系積層欠陥、AlNポリタイポイド型構造のいずれの試料も電子線励起で母体の欠陥からの発光と考えられる400nm付近に強い発光を示した。AlN系積層欠陥ではGd3+添加に加えてSi共添加も試みたが、Gd3+の発光は観測されなかった。ポリタイポイド型構造への添加ではGd3+のみの添加ではポリタイポイド型構造と異なる物質が生成した。これまでの研究で比較的カチオンサイズが大きなときにポリタイポイド型構造が生成しやすいことから、Gd3+に加えLa3+を共添加することで、ポリタイポイド型構造を得ることができ、TEM観察でも特有の周期的な構造が確認された。一部の試料でGd3+からと考えられる325nmの発光が確認された。
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