研究課題/領域番号 |
26420691
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
武田 隆史 国立研究開発法人物質・材料研究機構, サイアロンユニット, 主任研究員 (60344488)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 紫外線発光 / ポリタイポイド構造 |
研究実績の概要 |
水銀使用の規制に伴い水銀ランプに変わる新しい紫外線発光の光源が求められている。AlNはEu2+をドープすることで電子線励起で強力な青色発光を示し、電子線励起に優れた物質と考えられる。Eu2+の代わりに紫外線発光できる発光中心を用いれば高強度の紫外線発光が期待できる。昨年度の実験ではGd3+を導入するためにAlNの関連構造であるLaを共添加したポリタイポイド構造を試みたがGd3+からの発光強度は弱かった。Gd3+発光中心量が少ないためと考えられたので、本年度はGd3+発光中心量を増加させる実験を進めた。イオンサイズが小さいためかポリタイポイド構造に取り込むGd3+量を増やすのは難しく、大幅な強度増加は得られなかった。そこでGd3+に変えてCe3+を発光中心候補として検討した。Ce3+はGd3+と異なりf-d遷移であるため、Ce3+の配位環境で大きく発光波長が変化する。AlNの関連構造であるポリタイポイド構造を用いた結果、Gd3+の紫外線発光ほどの短波長発光ではないが紫色発光が観測された。発光強度はGd3+の時に較べで大幅に増加した。Ce添加量1%で420nm付近にピークを持ち350-520nmに幅を持つ幅広の発光であった。Ce量の添加量と共に発光波長は長波長側に移動すると共に発光強度は低下した。紫外線領域に発光を持つものの可視光発光が強いため構造変化による発光の短波長化が必要であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発光中心をGd3+からCe3+に変更することで発光強度の大幅な増加が実現できたが、発光波長が長波側に移動し、紫外線の成分が減少したため。
|
今後の研究の推進方策 |
Ce3+の発光は配位環境の影響を受け発光波長は容易に移動する。現時点ではSrを母体に用いたポリタイポイドであるが、Baを用いたポリタイポイドにすることで短波長発光にシフトさせる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
Gd3+を用いた実験では大幅な紫外線発光の強度増大が得られなかっため、助成金の使用を抑えてCe3+を用いた発光波長の制御に注力したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
昨年度の結果のポリタイポイド系において、発光波長を短波長側話に移動させるためにはBa系の合成が必要である。Ba系の原料の購入などを進め、短波長化を進める。
|