本研究では,低コスト銀ナノ粒子の調製およびその銀ナノ粒子をカーボンナノチューブに接合させることによって,高機能な導電性複合材料を創成すること及びそれを用いて高強度や高透明性の導電膜を作成することを目的とした. その研究成果として,銀(Ag)ナノ粒子のサイズは,還元剤溶液の投入速度,温度および撹拌速度などに依存することが判明し,ナノサイズの制御についての検討を行った.また,銀ナノ粒子をカーボンナノチューブ(CNT)に付着しやすくさせ,CNTの改質には硝酸酸化処理し表面官能基を増加させた. Ag/CNTナノ複合体の合成プロセスを検討し,優れたAg/CNTナノ複合体の合成を成功した.Ag/CNTナノ複合体の構造同定・評価について,X線光電分光法(XPS),ラマン(Raman)分光法および透過型電子顕微鏡(TEM)で分析し確認した. 銀ナノ粒子の創成には安価で短時間で合成可能な化学還元法を用いる.改質CNTの作製には,硝酸を用い改質を行った.AgCNT作製にはアミド結合を利用し銀ナノ粒子とCNTを付着させた.透明伝導膜TCF_CNTおよびTCF_AgCNTにはポリエチレンテレフタレート(PET)へスプレー法を用いコーティングすることで作製した.その過程で必要な銀ナノ粒子,改質CNT,CNT薄膜 (TCF_CNT) およびAgCNT薄膜(TCF_AgCNT) の作製および電気伝導性や透明度など評価も行った.
|