ボイラー水環境における高強度低合金鋼の溶接部に発生する応力腐食割れの発生条件および発生機構を解明するために,pHおよび溶存酸素濃度の異なるボイラー水模擬環境下における焼入処理された高強度低合金鋼のSCC試験を行った.その結果,SCCの発生条件としては,pHの依存性はむしろ少なく,溶存酸素濃度が高い環境でSCCが発生しやすいことが分かった.溶存酸素の低いpH 9の環境では焼入による材料硬度が高いほど荷重緩和が高く,水素脆性型SCCが発生しやすい.また,焼入後の硬度がやや低い低合金では活性経路型SCCが発生した.材料の組織状態,環境条件によってSCCの発生メカニズムが異なることが示唆された.
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