研究課題/領域番号 |
26420706
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉尾 健次郎 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90294545)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 空間分布 / 粒子分散型複合材料 / 画像処理 / 機械学習 / 電気伝導率 |
研究実績の概要 |
昨年度は2次元局所粒数(LN2D)を用いて粒子分散型複合材料の第2相の空間分布を測定するためのソフトウェア(ImageLN2D)を開発した。しかしながら,実際に得られた顕微鏡組織像ではフィルタリング,2値化,輪郭抽出,モルフォロジー演算等の画像処理を適切に組み合わせても第2相を完全に分離することが難しく,ImageLN2Dでは手動で輪郭を修正しなければならなかった。そこで,より高精度に第2相を分離するために,機械学習を用いた画像処理の適用について検討を行った。機械学習ではまず画像から得られたデータから前処理により変換された特徴量を解析する。これまでにSIFT,SURF,Haar-Like,LBP,HOGといった特徴量の抽出方法が提案され,これらを改良または組み合わせた特徴量についても研究が行われている。どの特徴量を用いるかにより第2相の検出率は変化し,認識する画像の種類や状態に応じて適切な方法を選択する必要がある。本年度はHarr-Like,LBP,HOGを用いた機械学習による画像認識の適用可能性について検討を行った。機械学習にはインテル社が開発したオープンソースのライブラリOpenCVを用いた。 電気伝導シミュレーションを行うことで実際の組織写真から金属基粒子分散型複合材料の電気伝導率を算出できるプログラムの開発を行った。しかし,組織写真は二次元情報であり,実際に測定される三次元での電気伝導率と等価ではないと予想され,その関係についての研究はあまり行われていない。そこで,コンピュータ内に三次元の複合材料組織を想定して電気伝導シミュレーションを行うことで電気伝導率を算出し,さらにその二次元断面の材料組織での電気伝導率を算出することでそれらの統計的関係を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
粒子分散型複合材料の組織写真から画像処理により第2相を高精度に分離するために,Harr-Like,LBP,HOGを用いた機械学習による画像認識の適用可能性について検討を行った。しかしながら,検出率はまだ十分とは言えず,現時点で粒子分散型複合材料の第2相の空間分布を測定するためのソフトウェア(ImageLN2D)にそれを組み込むことは難しい。また,画像の平均自由行程(IMFP)を測定するためのソフトウェア(ImageIMFP)の開発は完了していない。ただし,電気伝導シミュレーションを行うことで実際の組織写真から金属基粒子分散型複合材料の電気伝導率を算出できるプログラムの開発を行い,その研究成果を投稿論文に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
粒子分散型複合材料の組織写真から画像処理により第2相を高精度に分離するために,SHIF,SURF,ORB,KAZE,BRISK等の特徴量の適用可能性について検討を行う。画像の平均自由行程(IMFP)を測定するためのソフトウェア(ImageIMFP)の開発を完了させる。熱伝導シミュレーションを行うことで実際の組織写真から金属基粒子分散型複合材料の有効熱伝導率を算出できるプログラムの開発を行う。また,コンピュータ内に三次元の複合材料組織を想定して熱伝導シミュレーションを行うことで有効熱伝導率を算出し,さらにその二次元断面の材料組織での有効熱伝導率を算出することでそれらの統計的関係を調査する。
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