画像の平均自由行程(IMFP)を測定するためのソフトウェアの開発を行った。画像の平均自由行程は2相材料の転位運動の容易さを示す指標であり,次のように測定する。(1)画像中にランダムな始点Aを決める。(2)始点Aからランダムな方向に進み第2相に到達するまでの距離をaとし,aを「画像の自由行程」とする。ただし,画像の端に到達した場合は測定をやり直す。(3)設定したサンプル数(300万回程度)になるまで(1)(2)の測定を繰り返して頻度分布を作り、頻度分布から「画像の平均自由行程」を求める。Al-Si系合金の鋳造組織に対してIMFPの測定を行い,機械的性質との関係について調査を行った。また,2次元局所粒数(LN2D)によって粒子分散型複合材料の第2相の空間分布を測定するためのソフトウェアにIMFPを測定する機能の統合を行った。統合したソフトウェアではLN2DおよびIMFPに加えて第2相のサイズ分布,アスペクト比および配向性を測定することができる。 熱伝導シミュレーションを行うことで実際の組織写真から金属基粒子分散型複合材料の有効熱伝導率を算出できるプログラムの開発を行った。しかし,組織写真は二次元情報であり,実際に測定される三次元での有効熱伝導率と等価ではないと予想され,その関係についての研究はあまり行われていない。そこで,コンピュータ内に三次元の複合材料組織を想定して熱伝導シミュレーションを行うことで有効熱伝導率を算出し,さらにその二次元断面の材料組織での有効熱伝導率を算出することでそれらの統計的関係を調査した。
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