研究課題
台風、火山、地震など自然災害の多い我が国では、自動車・建材・住宅、電化製品、情報端末機器、生活関連用品等分野を問わずに高耐久性の表面コーティングの必要性が高まっており、特に自己修復機能が期待されている。申請者は2014年~2016年まで基盤研究(c)を受けて植物のハスの葉表面の凹凸による表面自浄効果Lotus effectを模倣したフッ素コーティングによる撥水撥油膜を用いた防汚表面に関する研究を中心に行い、水および油類のうち表面張力22mN/m以上の液滴をはじく固体表面を実現した。その結果、Cassie状態からWenzel状態への転移現象他、温度による相転移にもとづく表面濡れ性の制御性など界面化学、表面化学分野において新たな知見を得ることができ、American Chemical Society のACS NANO(IF:13.334)やAdvanced Functional Materials(WILEY-VCH)といった学術雑誌に発表した。従来から超撥水としてよく活用されている、ハスの葉表面の凹凸を模倣した構造はマイクロスケールもしくはナノスケールの凹凸構造をもつため、密閉された容器内においては一定期間防汚性能を発揮するものの、野外においては風雨、吹き付ける砂埃や油類の付着により摩耗され、機能低下が激しいことが明らかになった。すなわち、表面機能の劣化と総括されていた低耐久性に関しては、(1)物理的な摩耗による構造劣化の他(2)微小油性物質や微小粒子の付着を核とした表面吸着物質の成長による化学組成の変化の2種類の要因があることが明らかになった。そこで、ポリマーを介在させた強固な凹凸構造を作製し、耐摩耗性を上昇させた。さらに、凹凸構造によらずにπ電子相互作用により非常に薄い液膜を表面に保持させ、混和性のない液体を滑らせる新規撥水撥油膜を新規考案した。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件) 備考 (2件)
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https://www.appi.keio.ac.jp/shiratori/
https://www.appi.keio.ac.jp/shiratori/Publication%202017.html